Aの呼気からはアルコールが検出されていた。この日の早朝、社民党本部1階の正面玄関に、運転してきた車で数回体当たりしているが、当時、社民党本部に職員はおらずケガ人はゼロ。動機については「あとで話す」と語らなかった。
4月27日、このA被告の初公判が東京地裁で行われ、ついにその動機が明かされたのだが、その理由は、とんでもなく行き当たりばったりなものだった。
「A被告は前科6犯。覚せい剤取締法違反での服役を終え、数カ月後に右翼団体の構成員から紹介された鳶の仕事に就きました。しかし無断欠勤を重ねたうえ、給料をもらったあとは出勤しなくなってしまったのです」(社会部記者)
そして犯行前夜。友人の家で酒を酌み交わしているうち、紹介者に迷惑をかけた、という気持ちと『生活が苦しいのはすべて民主党がしっかりしてくれないからだ。民主党に車で突入すれば認めてくれるのではないか』などという気持ちが湧いてきたのだという。A被告の調書にはこうある。
「母親の車で出かけたが、民主党本部前は、機動隊の警備が厳しく突入困難。しかし、何もせずに帰るのは恥だと思い、民主党も社民党も同じ左の思想、同じだと考え、社民党本部へ…」
なんと、最初は民主党本部をターゲットにしていたのだという。警備が厳しいから、じゃあ、社民党へ…という、呆れるほど適当な理由である。
弁護人「その右翼団体の人はどう言ってるんですか?」
A被告「本部にもガサ入ってるんでねぇ…。総裁や会長が心配してきてくれて…。酒飲んでこういった行為はおかしいんじゃないかと…」
トバッチリは社民党だけでなく、仕事を紹介してくれた右翼団体も受けたようだ。しかし、反省までには至らないようで…。
裁判官「今はどう思ってるんですか?」
A被告「気持ちは変わらない。ここで反省してるって言ったら、やった意味がなくなっちゃう。そうなったらもう、やった意味がない」
カッコつけてはいるが、言ってる事はメチャクチャ。求刑は懲役1年7月。6月には判決が言い渡される。