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NASA関連調査報告 人類は数十年後に滅亡するウソ・ホント(2)

 また、レポートには「エリートは浪費が行き過ぎて、平民に飢餓をもたらし、それがひいては社会の崩壊をもたらす。不平等が原因で飢餓が起こり、それが労働者喪失に繋がって起こる」とあり、解決策は主に二つしかないという。一つは、資源がもっと平等に配分できるように経済の不平等を減らすこと。二つめは資源負担の軽い再生エネルギーに依存し、人口増加を抑制することで、資源消費を劇的に減らすことだと結論づけている。
 しかし、これに関しても村上氏が反論する。
 「経済発展が著しいブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国に、南アフリカ共和国を加えた5カ国をBRICsと呼びます。これらの国は人口増加が著しいが、経済発展で中流層も増えた。平均寿命も伸び、資源消費も増えたものの、鉄鉱石や石炭、天然ガスが豊富で資源大国でもある。これらの国は経済的には自国を守りますから、富める者と貧しい者の決定的な二極化はしないのです」(村上氏)

 ジャーナリストの窪田順生氏もこう語る。
 「欧米人が書いたこの手のレポートを読んでいつも思うのは、キリスト教的な終末思想が背後にあり、“人類は破滅に向かう”と決めつけていることです。しかも、彼らは西洋的な価値観でそう断じる反面、新しいビジネスをちゃっかり進めていますからね」

 とはいえ、破滅に向かっていると言えなくもない現実もある。気候変動への対応だ。
 国連機関のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最終報告が先頃まとまり、パチャウリ議長は「地球温暖化(気候変動)の影響は全ての大陸に及んでいる。この惑星の誰も気候変動の影響を受けないでいることはできない」と警鐘を鳴らした。

 このまま温暖化が進めば、2081年〜2100年の間に、気温は最大4.8℃、海面は最大82センチ上昇すると予測され、洪水被害は3倍、熱中症の死者は2倍になるという。
 「洪水、熱波、大型台風でとりわけ大都市の被害は大きくなる。スイスの保険会社の最新報告では、世界で自然災害リスクが最も高い都市は、なんと東京と横浜(地震・津波)でした。さらに5位にも大阪と神戸(暴風雨・河川の氾濫・津波)が入っている。いかに日本という国が危ない環境にあるかわかるデータですが、国は東京に'20年に運転開始の火力発電所の建設許可を出し、その一方で原発を再稼働させる。なぜ自然エネルギーにもっと積極的になれないのか不思議でなりません」(前出・サイエンス記者)

 諸外国はともかく、日本の政治家のバカさ加減はレポートにある通りではないだろうか。しかし、資源が枯渇しそうになると、それに代わるものを技術革新で生み出す。人類滅亡の危機があるとすれば、今回は切り抜けられるのか。

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