そんな不安材料満載の中、大相撲秋場所が9月11日から東京・両国国技館で始まる。前売り入場券の売れ行きは上々。ファンの関心も高いが、もしかすると盛り上がりに乏しい、低調な場所になるかもしれない。
それを予兆させるのが、史上3人目の通算1000勝まであと3勝と迫っている横綱白鵬の動向だ。先場所の白鵬は終盤に大きく崩れ、横綱になってワーストタイの10勝5敗に終わった。
先場所千秋楽、日馬富士に敗れて引き上げてきた白鵬は明らかに不機嫌な様子で、「(止まらずに)攻め続ければよかった」と、取材のためにそばに来た報道陣を手で制し、わずかに反省の弁を述べただけで足早に引き上げている。
この雪辱を期すためもあって、8月の夏巡業はすこぶる意欲的だった。休場者が相次ぐ中で、最後まで土俵に上がり続けたが、そのツケが左ひざに出た。
「白鵬は先場所9日目の勢戦で踏み込もうとしたときにつまずき、右足の親指を痛めました。この翌日、『万全の治療をしたから大丈夫』と話し、相撲への影響も感じさせませんでしたが、場所後、再検査を受けたところ、ヒビが入っていたことが判明したのです。夏巡業の間、この痛めた右足をかばい続けたため、反対の左ひざに負担が掛かり、痛みが出てしまいました」(担当記者)
巡業を終えた白鵬は、階段を上がるのもやっと、という状態。もちろん、稽古どころではなく、2日に両国国技館内で行われた横審の稽古総見も休んでしまった。もし秋場所を休場するようなことがあれば、横綱になって初めての“全休”となる。
3場所連続して綱取りに挑む大関稀勢の里(30)にとっては大きな追い風となりそうだが、この注目の大関の調子もいま一つ。稀勢の里も先場所、右足首を痛め、夏巡業の前半を休場した。
その影響が出たのか、2日の稽古総見では日馬富士に手玉に取られ、なんと8連敗。いいところなしの稀勢の里は、「相手が横綱だから、こんなもんじゃないですか」と淡々と話していたが、横審の守屋秀繁委員長は「稽古で勝てないようでは、本番では勝てない。日馬富士の連続優勝じゃないか」と呆れ顔だった。
拍手喝采が轟く代わりに、溜め息ばかりが漏れる秋場所にならなければいいのだが…。
それにしても稽古とはいえ、稀勢の里の対日馬富士戦8連敗とはなんとも情けない。