東京オリンピック誘致に成功するなど、まさに我が世の春とばかりに都知事の権力を謳歌していた猪瀬直樹前東京都知事。その猪瀬氏が医療法人徳洲会グループから5000万円を無利子・無担保で受け取っていた一件の責任を問われ、辞任に追い込まれたのは昨年末のことだった。
尋常ではない量の汗をかきながらの釈明や、都議会に「5000万円を入れて運んだ」という黒カバンを持ち込んだものの、5000万円の札束に見立てた紙の箱がカバンに入りきらず『エスパー猪瀬』と揶揄されるなど、散々な嘲笑を受けたのは周知の通り。
猪瀬氏は史上最多となる433万票を獲得したとは思えないほどボロボロになって都庁を追われている。
「問題が発覚した時点で、猪瀬の都知事辞任はもはや避けられないと見られていました。ただ問題はいつ辞任の決断をするかでしたが、当初はもっと粘るかと思われたものの、借用書問題などあまりに脇が甘く、アッという間に詰んでしまった。おかげで、どの陣営も十分な根回しや準備ができないまま都知事選がスタートしてしまったという状況ですね」(政治部記者)
そんなドタバタの辞任劇もあって、昨年末の時点で都知事選への出馬を表明していたのは、前回2012年の都知事選にも出馬し猪瀬氏に敗れている前日弁連会長の宇都宮健児氏ただ一人。続いて年が明けた1月1日に元ネパール大使の吉田重信氏がホームページで出馬を表明しているが、それ以外にもさまざまな名前が取り沙汰されており、先行きは混沌としてきた。
現時点で出馬が噂される名前だけでもかなりの数だ。現職の政治家では石原慎太郎元都知事の長男・石原伸晃環境相を筆頭に小池百合子元防衛相、丸川珠代参議院議員、下村博文文部科学相、橋本聖子参議院議員、蓮舫元行政刷新担当相に加え、総理経験者の小泉純一郎や菅直人の両元首相の名前も囁かれている。
他にも元厚生労働相の舛添要一氏、安倍晋三首相の隠し玉として外務省の“美魔女エリート官僚”といわれる斎木尚子国際文化交流審議官、郵便不正事件で汚名を着せられた村木厚子事務次官といった官僚や、ジャーナリストの池上彰氏、さらにはなぜか、みのもんたやビートたけしといったタレントの名前までが浮上しているのだ。
「舛添や小池のように色気タップリの人間から、小泉さんのように名前が出ただけで出馬の可能性はほとんどない人物までさまざまです。ここにきて日本維新の会のアントニオ猪木参議院議員や、元航空幕僚長で軍事評論家の田母神俊雄氏が立候補を検討しているといった報道も流れていますが、各陣営はメディアを使ってアドバルーンを上げ、周囲の動向を見ながらギリギリまで検討することになるでしょうね」(報道局記者)