「昨年オフの契約更改でオリックスは金子との複数年契約に失敗しています。今季中に金子は国内FA権を取得するので、残留交渉を進めるなら今がラストチャンス」(スポーツ紙記者)
一般論として、FA権の行使を考える選手は夏場に情報を集め、移籍先にある程度のメドをつけているという。金子の推定年俸は2億円。前年比で1試合平均観客数が16.2%増のオリックスなら、大幅昇給も可能だろう。
「オリックスはソフトバンクとの首位争いを繰り広げているものの、救援投手陣の登板過多が指摘されています。佳境を迎えるこの時期に完投能力の高い金子の登録を抹消するのは、矛盾しています」(担当記者)
昨オフの複数年契約が失敗した時点で、オリックスは金子退団を覚悟しているとの情報も流れた。
「金子がFA宣言すれば巨人が放っておきません。でも、FAの人的補填を見据えた場合“第2の一岡竜司”はいません。メジャースカウトも金子を高く評価しているので、ろくな人的補償がないのなら、ポスティングにかけて2000万ドルの落札金を取った方がお得でしょう」(同・記者)
しかし、金子慰留の切り札は残っている。
「オリックスは今季、グループ創立50周年の節目であり、51年目の来季に新しい体制を迎えるならば、新監督招聘が手っ取り早い。有力候補は“OBの野茂氏”ですよ」(球界関係者)
野茂英雄氏の保留権は、近鉄を任意引退扱いのため、合併を経たオリックスに引き継がれている。もし『野茂バファローズ』の誕生となれば、米メディアも大々的に取り上げるだろう。
その野茂氏と監督就任の交渉を進める場合、金子離脱は大きなマイナス材料となる。となれば、野茂氏も「金子残留」を条件に加えるはずだ。世界の野茂に「一緒にやろう」と言われて断る野球人は一人もいない。
金子の“夏休み”は、文字通り来季のための滋養となりそうだ。