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お歳暮、Xマス、正月商戦大炎上「金返せ!」老舗デパート食材偽装の裏帳簿(2)

 デパートのバイヤーもこう嘆く。
 「今までは、毎年年明けにご当地グルメや駅弁展などを催事場で開催。その際には商品が飛ぶように売れたが、今回の騒動でデパートの上層部から『食材は大丈夫なのか?』との問い合わせが入り、頭を悩ませている。全ての駅弁の食材チェックを行うこともできないし、曖昧な返答をして開催し、偽装食材が発覚したら目も当てられない。そのため、イベントを開くか止めるかで、胃が痛くなる思いです」

 また、これとは別に思わぬ業界の関係者までもが、ガックリと肩を落としているという。

 民放キー局の関係者がこう語る。
 「百貨店の食材偽装は、格好の報道材料と思われがちだが、実はテレビ業界も大打撃を受けているのです。ご存じの通り、広告収入の激減で、今や番組1本あたりの制作費は以前の半分以下に抑えられている。その苦しい台所事情を救う“隠し玉”が、デパ地下の探訪コーナーだったのです。だが、この騒動で当分はそうしたコーナーを流せなくなる。情報番組のプロデューサーの中には、『デパ地下スイーツに代わるネタはないか!』と大号令をかけているほどなのです」

 もっとも、こうした嘆きは、騒動のほんの一端と言わざるを得ない。なぜなら、今回起きた食品偽装は今後さらなる広がりを見せるのは確実で、デパート業界の崩壊にもつながりかねないとする声があるからだ。

 デパートチェーンのOBが言う。
 「確かに冬のギフト商戦と年末年始商戦は、業界の生命線といわれており、敗れれば減収減益に直結する。だが、真に恐ろしいのはその先で、この騒動が今年の年末だけでなく、来年のバレンタインデーやお中元時期、果ては年末まで影響を及ぼす可能性があることなのです。品質の良さと安全を売り物にしてきた“デパート神話”が木っ端微塵に吹っ飛んだことは、それほどの負の連鎖を秘めているということ。悪くすれば、デパート不況が再び起きる可能性も高いのです」

 また、前出の民間シンクタンク関係者もこう話す。
 「経済界の一部では、このイメージの回復に数年を要するようなら『持ちこたえられないチェーン店が出始めるのでは!?』との声もある。その場合には、数年前に終わったばかりのデパート再編の悪夢が、またも業界に押し寄せることとなり、アベノミクスで上向いた経済が、再びデフレ方向に振れる可能性も含んでいるのです。端的に言えば、デパートの食材偽装は経済を悪化させかねない力を持っているのです」

 '08年に食材の産地偽装問題が発覚した大阪の高級料亭『船場吉兆』が、廃業に追い込まれたことをご記憶の方も多いと思うが、食の偽装は信用を取り戻すのが至難の業。事業の屋台骨−−ひいては経済を揺るがす起爆力を秘めているのである。
 それだけに、今後デパート業界が正念場を迎えるのは自明の理。4月に上がる消費税と相まって、壊滅的な地盤沈下を起こす可能性も否めないのだ。

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