「不正受給」という言葉をトレンドワードに仕立て上げた、次長課長の河本準一。その後、擁護芸人や告白芸人がよしもとから続出したことも、火に油を注いだ。しかし結果的に、河本のテレビ出演に大きく響くことはなかったため、事態はゆっくり収束しそうだ。
そんな河本が、昭和芸人さながらの金の使い方であったのは有名だ。よしもとでは、先輩が後輩におごるという悪しき不文律が、脈々と受け継がれている。そのモデルケースである河本も、売れるまでは、雨上がり決死隊の宮迫博之、品川庄司の品川祐など、多くの先輩芸人にかわいがられ、酒の飲み方、業界の生き残り方などを体に叩きこまれた。そして、「売れたら同じことを後輩にしてあげろ」というメッセージを受け取っていたため、「準ちゃん会」を結成した。
のちに売れたタカアンドトシ、オリエンタルラジオの藤森慎吾、ダイノジの大地洋輔、ハイキングウォーキングの鈴木Q太郎、パンクブーブーの黒瀬純、レイザーラモンRG、レギュラー、トータルテンボスの藤田憲右、カラテカの入江慎也ほか、無名のサカイスト、ニブンノゴ!、ギンナナなど、構成員は50名におよぶ。
年に1度の誕生日会となれば、カラオケボックスなどを貸しきって、豪勢に祝う。総額10万円を超えることも珍しくないが、河本ひとりで支払う。後輩には絶対、財布を出させない。それはかつて、後輩に「飲みに行こう」と軽く誘ったとき、「ちょっと待ってください」と消費者金融に立ち寄った姿を見たときから、心に決めたことだ。
ひと晩で100万円ほど散財することもあり、後輩のタクシー代までしっかり支給。そうなると当然、2児のパパである河本家の家計に響く。そこで、元アイドルの妻は将来のためにと'06年、河本の個人事務所を設立。自らは、社長に就任した。ギャラのほとんどをこの事務所に振り込ませて、河本の散財癖、さらには浮気防止に役立てている。
幸か不幸か、そんなアルコールざんまいの毎日がついに祟って'10年、河本は急性すい炎で長期療養。以降から今なお、厳しい食事制限がされているため、酒を飲めなくなった。それでも、後輩と外食すれば、勘定は河本もち。今では、後輩も遠慮して飲めなくなったという。
いっぽう、相方の井上聡は、吉本(当時)男前ランキングで殿堂入りするほどのイケメン。これまでに、山本梓、優木まおみといった美人と噂になるも、インドアタイプの井上は、結婚に発展しない。趣味はゲーム。散財も浮気もないため、芸人としての伝説は皆無。しかし、このアンバランスぶりが、コンビとしてはいいのかもしれない。(伊藤由華)