120年もの耐久性があるといわれる血管が、なぜ壊れるのか。また、いかにして強靱な器官をケアするのか、「食と運動」の視点から調べてみた。
厚生労働省の調査によると、日本人の死因の30%は心筋梗塞と脳卒中などの脳血管疾患だという。その最大の原因になっているのが動脈硬化だ。血管が老化すると血管に弾力性が無くなり、コレステロールや中性脂肪などが血管の壁に付着し、詰まったり硬くなったりしてゴワゴワ状態に。その結果、血管の中の血液がスムーズに流れず、酸素や栄養不足になり高血圧になる。そうなると血管へ常に負担が掛かる状態になり、動脈は弾力性を失い硬くもろくなる。進行すれば狭心症、心筋梗塞などのほか、脳疾患(脳梗塞、脳出血)に陥るとも言われている。
『血管を強くする本』(PHP研究所)の著者でヱビス診療所の院長を務める松原英多医師は、本の中でこう述べている。
「心臓も脳も、腸も、人間の臓器はすべて血液によって栄養が与えられ、そこで生まれる老廃物も、血液によって洗い流される。つまり臓器の健康を直接的に司っているので、血液を淀みなく補給し続けるには、何よりも血管が健康でなければならない」
松原医師はさらに、「臓器の不調は敏感に感じ取る人でも、血管の状態に意識を向けることはない。そこに現代人の健康管理の落とし穴がある」として、血管を継続的に鍛えるには、基本を「運動と温めること」におくと結論付けている。
また循環器系の専門医でもある医学博士・浦上尚之医師も「血管は鍛えるべし」を唱える一人だ。
「人は指先でも耳たぶでも、体のどこを切っても血が出る。それを考えると、人間の体は血管で出来ていると言っても過言ではないでしょう。そんな大切な存在である血管に丈夫で長持ちして貰うには、血管を壊れないように、鍛えなければならない」と言う。
しかし、前述した通り、一説には血管の本来の耐久年数は120年ともいわれる反面、近年は老化の進行が著しく、神話に近い話になっているのが実情だ。