横綱・白鵬(34)の休場で、夏場所の注目が集まっていた新大関・貴景勝(22)。その若き救世主が4日目、ライバルの御嶽海を寄り切ったときに右膝を負傷。ここから前代未聞の茶番劇が始まった――。
「今場所の貴景勝に対しては、対戦相手が弱点を研究し、そこを攻めてきました。例の御嶽海戦も、勝つには勝ったものの、押し切れず四つになり、もろ差しから寄り切るという、本来の取り口からはほど遠いものでした。そのため、体の使い方を間違ったんです」(担当記者)
当然、翌5日目から休場。「左足一本と両手だけでは闘えない」と話し、再起に向けて治療を開始した。相撲協会に提出した診断書には、右膝の内側側副じん帯の損傷で、全治3週間と書かれていた。
ところが、わずか3日後の8日目、酸素カプセルや注射などの治療を施した貴景勝は、「劇的に痛みも腫れも引いた。休むのは簡単だが、出られるのに出ないのはおかしい」と話し、右足に大きなテーピングをして再出場したのだ。
さすが大関昇進の時の口上に「武士道」という文言を盛り込んだ貴景勝と言いたいが、現実は甘くなかった。
賛否両論が渦巻く中、198キロの碧山と対戦した貴景勝は立ち合いの変化に全くついていけず、わずか0.8秒で両手をバッタリ。そして、翌9日目の朝、またまた休場を表明するドタバタ劇になってしまったのである。
「貴景勝が再出場を懇願しても、師匠が『治療に専念しろ』と言えば済む話でした。でも、貴景勝は貴乃花元親方の譲り弟子ですから、強く言えなかったんです。膝のケガは致命傷になりやすい。これからも、こういうことが度々起こるなら心配ですね」(協会関係者)
いかに看板力士とはいえ、大関が再出場した例は、昭和26年春場所の汐ノ海以来、68年ぶり。この事実だけを見ても、再出場の難しさが分かる。
トランプ米大統領の千秋楽の観戦を意識したというわけでもないだろうが、無理は禁物だ。