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発ガン性最高レベル「PM2・5」日本列島を襲う飛来危険MAP(1)

 つくづく迷惑な隣国である。中国で発生しているPM2.5による大気汚染が深刻化し、首都北京ばかりか東北部の黒竜江省ハルビン市でも計測器が振り切れて計測不能になる「爆表」状態となったのだ。
 「10月21日、ハルビン市のPM2.5濃度は1立方メートル当たり1日平均1000マイクログラムを超えたほどです(中国の基準値は75マイクログラム)。市内は霞がかかったように真っ白で、昼間でも視界が50メートル以下になった。そのため、高速道路は一時通行止めになり空港も閉鎖。市内の小中学校はすべて休校になりました」(中国在住記者)

 当然、道路標識や車のハザードランプもよく見えない。交通事故が多発し、気象当局はなるべく外出を控えるよう呼びかけた。
 視界不良の中、道行く人は皆マスクを着け、人間が生活する環境ではないことが明白だ。
 「ハルビン市の数値が悪化したのは、石炭を使った家庭向け集中暖房が10月からスタートしたことが原因とみられています。中国東北部では暖房設備として、6階から9階建ての大規模な団地群の中に大きな煙突型のボイラーを設置し、各戸に熱湯か蒸気を供給している。ここへ来てそれを一斉にやりだした影響が出たわけです」(同)

 そもそも、PM2.5とは何なのか。医療関係者が説明する。
 「空気中に浮かんでいる小さな粒子のことを、エアロゾルと呼びます。そのうち、粒径2.5マイクログラム以下の粒子がPM2.5。髪の毛の太さの30分の1という大きさのため、人間の肺の奥にまで到達しやすいとされている。ただし、最近発生したものでなく、太古の昔から一定量は地球上のどこの大気にも存在していました。自然起源のものと、人間の活動により発生するものがあり、自然起源のものについては、人類は原始時代から吸い続けてきたのです。今問題になっているのは人為的なもので、硫酸塩や硝酸塩などの無機塩や、中国の工場で使われている石炭を燃焼した際に発生する化学物質、その他の毒素などが黄砂や花粉に付着して飛散する。それを顕微鏡で見てみると、ススのように真っ黒です」

 このPM2.5汚染の深刻化を受け、10月17日、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関は、発ガン性物質の5段階リスク評価で、PM2.5をアスベストと同じ最高レベルに位置付けた。
 「目、鼻、呼吸器のアレルギー反応を高める作用があることはもちろん、中国のように高い濃度になれば、慢性気管支炎や肺気腫の患者はさらに症状を悪化させ、場合によっては肺ガンを引き起こすことも十分に考えられます。中国の専門家による研究会では、呼吸器系や心臓の病気も含め、中国全体の死者の約15%に大気汚染が関係しているといわれています。また、北京大学が中国の4大都市(北京・上海・広州・西安)で行った調査では、2012年にPM2.5が原因と考えられる死者数が8572人いたことがわかった。加えて、米マサチューセッツ工科大学の研究によると、中国北部の石炭燃焼による大気汚染で、5億人の平均寿命が5年も短くなった可能性があることが報告されているのです」(前出・医療関係者)

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