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〈目からウロコの健康術〉 最悪の場合「失明」することも 中高年に起きやすい危険な「目の症状」

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提供:週刊実話

 過去に取材した複数の眼科医によると、生活習慣病やがんと同じように、目の病気も40歳を境に起きやすくなる。
「菊地眼科クリニック」(川崎市幸区)の菊地琢也院長によれば、40歳以上の患者の8割は何らかの自覚症状を抱えているという。同院におけるそのトップ3が、「見えづらい」「目が乾く」「目がかゆい」だ。

 「見えづらい」原因は近視や遠視、老視(老眼)など目のピント調節機能の異常に伴うものと他の病気によるものに大別されるが、特に注意したいのは後者だ。

 「物がかすんで見える」「光をまぶしく感じるようになった」「物が二重に見える」といった症状であれば白内障が疑われる。これは加齢によって目の中の水晶体という部位が白く濁ってしまう病気で、80歳以上の有病率は100%と言われている。濁った水晶体は元には戻らないが、水晶体を人工のレンズに取り換える手術を行うことで異常を軽減させることができる。

★症状なく進む緑内障に注意
 白内障以外にも、物が歪んで見えたり視野の中心が欠けたりする加齢黄斑変性、糖尿病の合併症の一つであり、視界がかすむなどの症状が現れる糖尿病網膜症など、見えづらい症状を引き起こす病気はさまざまにある。そうした中で、眼科医が「最も注意してほしい」と語るのが緑内障だ。

 「『見えづらい』という自覚症状があれば医療機関を受診して対策を打つことができますが、緑内障が怖いのは症状を感じないまま病気が進んでしまうこと。中期から末期でないと自覚できず、それから治療を開始しても失明してしまう恐れがあるのです」(菊地院長)

 緑内障は、視神経に障害が起こることで視野が徐々に狭くなっていく病気。視野は端から欠けていくことが多く、また片方の目に異常が起きたとしてももう一方の目が全体的な見え方を補正するので気づきにくい。

 日本緑内障学会が行った調査によると、緑内障にかかった人のうち、診断されて病気が判明していた人はわずか1割だった。

 一方、緑内障は日本人の失明原因の第1位で、40歳以上の20人に1人がかかると言われる。今のところ完治させる治療方法はなく、点眼やレーザー治療、手術によって進行を遅らせるしか手立てがない。つまり、早期発見・早期治療が失明を防ぐ上では重要なのだ。

 前出の菊地院長は「緑内障にかかりやすくなる40歳以降の方は、自覚症状がなくても眼科で検診を受けてほしい」と話す。

★スマホの普及でドライアイ増加
「目が乾く」「目がショボショボする」「目が開きにくい」と訴える人が増えているのも、近年における眼科の特徴だ。

 パソコンを使った仕事やスマートフォンが普及したことで、目を酷使する人が増えた。

 人間が「まばたき」をする頻度は、3秒に1回程度だと言われているが、パソコンやスマホの画面を注視しているとそれが4秒、5秒と長くなっていき、人によっては10秒を超えることもあるという。まばたきの回数が減ることで涙の分泌量が減り、目が乾きやすくなってしまうのだ。

 こうした生活を続けていると、恒常的に涙の分泌量が減ったり、涙の質が変化したりして目を潤す能力が低下する「ドライアイ」の状態になってしまう。

 ドライアイを放置していると、眼球の前面を覆う角膜が傷つきやすくなり、重症になると角膜に無数の傷がついて、場合によっては視力が低下してしまうこともある。
「患者さんが自分でできる対策としては、意識してまばたきを増やす、空調の当たらない場所にいるようにする、フード付きメガネをかけるなどが挙げられ、治療としては、点眼や涙の排出口を塞ぐ涙点プラグという方法があります。今は薬も増えて患者さんに合うものが見つかりやすくなっていますから、重症化を防ぐためにも早めに対策を取りましょう」(菊地院長)

★スギ花粉症は根治も見込める
「見えづらい」「目が乾く」に続いて多い「かゆい」の原因は、花粉症であることが大半だという。花粉症治療のポイントは、花粉が飛び始める1カ月前から始めること。春の花粉であれば前年の12月末から翌年の1月に薬を服用したり、点眼したりすることで症状を和らげられる。

 また、スギ花粉が原因の花粉症に関しては根治が見込める治療法もある。それは、舌の下にアレルギー物質を含むエキスを垂らして飲み込み、徐々にアレルゲンへの免疫を高めていく舌下免疫療法というもの。

 毎日1度、最低でも2年間は投与を続ける必要があるため、患者にとって負担は軽くないが、臨床試験では症状の軽減を含めて約8割に効果が確認された。’14年に保険適用された治療法だ。

 目が病気になっていないか、自分で手軽に調べられる方法も紹介しよう。これは、加齢黄斑変性や網膜静脈閉塞症など、眼球の内壁を覆う網膜に異常が起こる病気を対象としたもので、「アムスラーチャート」という。菊地院長も患者によく手渡しているものだ。

 アムスラーチャートには、いくつもの縦線と横線が格子状に記されていて、中心に点が打たれている。これを30センチ離した上で、片目ずつ真ん中の点を見て、線が歪んで見えたり中心部が暗く映ったりすれば網膜の病気にかかっている可能性がある。普段からメガネやコンタクトを装着している人はその状態で確認する。「アムスラーチャート」でインターネット検索をすれば図を見られるので、チェックしてみてはどうだろうか。

 菊地院長は眼科医としての思いをこう語る。
「私たち人間が得ている情報の8割は視覚を経由していると言われています。とても大事な感覚であるにも関わらず、多くの方は『見えること』が当たり前になってしまっていて、そのありがたみを実感しづらい。病気になって初めて『もっと早く眼科に行っておけばよかった』と嘆かれる方をたくさん見てきましたから、40歳をすぎた方は眼科で検診を受けるとともに、自宅ではアムスラーチャートで定期的にセルフチェックすることを勧めます。目の病気を早期に見つけられる可能性が高まり、病気によって生活の質を損ねるリスクを大幅に下げられます」

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