この勢いで、'13年のトヨタは、自動車メーカーで初めて世界生産台数「1000万台」の快挙を視野に入れそうだ。
「尖閣問題の逆風で中国での販売が急ブレーキとなり、一時は『トヨタ、中国から撤退か』の観測さえ飛んだ。そんな地獄のどん底を乗り越えてのトップ奪回だけに、御曹司(豊田章男社長)は感慨ひとしおでしょう」(トヨタ自動車OB)
しかし“好事魔多し”が世の習い。トヨタは'08年にGMを蹴落としてトップの座に躍り出た翌'09年に章男社長が就任した直後から、米国で空前のリコール騒動が勃発。'10年1月には米下院の公聴会で矢面に立たされた揚げ句、米国トヨタ関係者の前で涙ぐむ場面さえあった。トヨタが再びGMから世界一の座を奪取した今、その悪夢が再び直撃しないとも限らない。
「世界の自動車王国を自負する米国民にとって、日本企業がトップの座に君臨し続けるのは屈辱でしかありません。あのリコール騒動も、そんな屈折した米国民の心情から捉えるとわかりやすい。そして米国だけでなく、中国では欧米勢と韓国、中国がタッグを組んで日本車の排除を画策している。特に欧州勢はEU諸国の景気が失速していることもあって『中国命』の度合いが強い。目障りな日本車、とりわけ“世界一”となったトヨタは標的になりやすいのです」(業界関係者)
世界トップを奪回したトヨタの試練はまだ続く?