「勤続疲労もあるのでしょう。代わりを務める投手がいないので、このまま中崎翔太(25)にクローザーをやってもらうしかないでしょう」(スポーツ紙記者)
クローザー・中崎は広島連覇の立役者の1人だ。昨季まで通算250試合に投げ、74セーブ。'15年は69試合、'16年は61試合、昨季も59試合登板と大車輪の活躍でチームを支えてきた。
「アゴ髭がトレードマークで、ギョロ目で相手打者を睨み付ける強気がウリのクローザーです」(同)
そんな中崎が打たれ始めたのである。今季はすでに10試合に登板しているが、打者3人をピシャリと抑えるケースは少なく、連打や失点で緒方孝市監督(49)やファンをハラハラさせているのだ。
「15日の巨人戦は『サヨナラ負け』を食らう寸前でした。3点リードの9回裏、打者8人と対戦し、被安打3、2四球で2点を献上。先発投手の勝ちが消えそうでした」(球界関係者)
ワンサイドで勝つより、ハラハラやヒヤヒヤがあれば、見ている方は盛り上がる。また、カープ女子に代表される広島ファンは、東京、大阪、名古屋にも応援に駆けつけ、最終の新幹線に飛び乗ることも多い。「中崎劇場」によって“一泊旅行”に変わり、本拠地・マツダスタジアムでは「試合時間が長くなった」「本当に勝ったのかどうか分からないから」と途中退場できず、帰路ではプチ交通パニックも起きているようだ。
「広島はDeNAと僅差での首位争いを展開していますが、チーム防御率は4.02(4月21日現在)。DeNA、阪神は2点台です。被本塁打20はリーグワーストで、投手陣全体の調子はよくありません。連戦の始まる交流戦以降、広島の失速を予想する声も聞かれます」(前出・関係者)
夏休み前に独走態勢を築いた昨季までとは違う展開となっている。中崎の復調が3連覇のカギとなりそうだが、こんな指摘もある。
「緒方監督は投手を長く引っ張る傾向があり、交代のタイミングを逸して試合を落とすこともあります。中崎に固執しすぎるとヤバいかも」(ベテラン記者)
緒方監督はクライマックスシリーズで競り負けたのがよほど悔しかったのか、今季は別の一面も見せている。これまでは自身で考えて決断してきたが、今年はコーチスタッフにも意見を聞いている。
「新加入のカンポスは外国人枠がなければ一軍で使いたいリリーバーです。二軍で7試合に投げ、いまだ失点ナシ。野手陣は好調なので、3人目の外国人投手として昇格させ、中崎と入れ代わることも…」(同)
緒方監督はその進言に従うかもしれない。ただ、中崎劇場はコアなファンには支持されているそうだ。
ペナント争いを考えれば独走はつまらない。これくらいのハンデがあってちょうどいいのかも。