マスコミ報道では本田圭佑の先制ボレーシュートばかりが脚光を浴びたオマーン戦だったが、各国のスカウティング陣を唸らせたのはドルトムントをブンデスリーガ連覇に導いた香川の隠れた存在感だった。
「オマーン戦は1トップに前田が入り、トップ下に本田、左に香川、右の岡崎という布陣。これを機能させたのは司令塔の本田ではなく、長友、香川、岡崎3選手の運動量の多さとスタミナです。彼らが欧州の強豪クラブで通用していることを見事に証明した試合でした。中でもオマーンのルグエン監督が唯一名指しで警戒していたこともあり、香川はDF陣を引きつけるオトリに徹していた。これはゴール以上に価値がある」(日本協会関係者)
ザックジャパンを取材するスポーツ紙記者が続ける。
「本人はもとより、協会首脳も香川のアクシデントをなにより警戒している。すでにマンチェスター・ユナイテッド(マンU)入りが秒読みになっているものの、正式契約は6月に行われる3試合後。もし、3日からの10日間決戦で香川の身にアクシデントが発生すると、とんでもない高額の補償問題が発生したのです」
協会関係者によれば、香川のフル出場に難色を示しているのは保有権を持つドルトムントだったという。
マンUとドルトムントのクラブ間では移籍金1500万ユーロ(約14億8000万円)をベースに、成績に応じて最大2200万ユーロ(約22億円)まで上昇するオプション契約で合意に達していたという。
「香川の代理人は、日本協会関係者とも6月の3番勝負で香川が負傷した場合の補償問題を協議していた。ドルトムントは日本代表での香川の起用に無理があってケガさせた場合、(マンUとの移籍金に相当する)20億円訴訟を起こす構えを見せていたのです。日本サッカー協会の年間予算は約150億円。そのうち日本代表関連の支出は約20億円程度ですから、協会だけではとても支払えない」(スポーツ紙デスク)
W杯出場の障害は多い。