ストレスという言葉を生物学的にいうと「何らかの刺激によって生じた歪みの状態を意味する」のだそうだが、心理学カウンセラーの言を借りるとこうなる。
「嫌な上司と1日中一緒に仕事をするとき、好きな女性と久しぶりに一緒に過ごせるとき、あるいは結婚や離婚、昇進や左遷など楽しい事も嫌な事も関係なく、心と体に受けるあらゆる刺激を“ストレス”と言います」
つまり、ストレスはなくす事が出来ない、生きている限り続くというわけ。あえてストレスがない状態をイメージするなら、静かでポカポカ陽気の昼下がりに、のんびりと寝転んでいるような状態だ。
変化や刺激がない、そんな状態は、この世には存在しない“別世界”といえるのかもしれない。しかし、現実の社会ではそうはいかない。私たちは常に精神的なストレスや肉体的ストレスに苛まれているのだ。
一般的に精神的ストレスは「嬉しい、楽しい、不愉快、悲しい、辛い」などを感じることで、肉体的なストレスは、激しい運動、長時間の通勤、悪い姿勢、睡眠不足状態などの肉体的疲労感を指すと医療関係者は言う。
ただ、ストレスといっても個人個人の肉体面の差もあるし、性格や思考パターンの違いによっても「感じる人、感じない人」がいる。
「暑いのが苦手な人」には夏の暑さはかなりこたえるが、暑さが好きな人は心地よく過ごせるはず。また、職場で上司に叱られ、落ち込んで自分を責めてしまう人もいれば、上司に叱られても適当に聞き流して平気な顔をしている人もいるなど、さまざまなタイプに分かれるのも事実。
こうしたストレスについて、川崎市内で精神内科医院を開く神保一成院長は、次のように説明する。
「人間に限らずすべての生き物には、ホメオスタシス(恒常性)というものがある。外から受ける刺激に対して無意識に身体が反応し、健康な状態を保とうとする。身体のこういった防衛本能を無理に抑えようとすると、恒常性が保てなくなり、精神的なことや健康が維持できなくなる。つまり病気を誘発し、精神を病んでしまう人が出てしまうのです」
そして、ストレスに弱い4つのタイプを挙げてもらった。
(1)几帳面、真面目 責任感が強く完全主義者。頼まれ事があると断われず、すべてを背負ってしまい、妥協できないタイプ。自分で抱え込んでしまうので、上手く行かないとクヨクヨ悩んで落ち込んでしまう。ストレスに弱い人の中で一番多いタイプ。
(2)頑固 どんなことにも厳しく、人の失敗も許さない。その失敗に対する怒りがストレスの原因になる。何でも頭ごなしに言うタイプの人も、発散しているようでできてなく、ストレスを溜め込む。
(3)おとなしい人 何を言われても受け止めてしまい、断わる事もできない。その事を後悔したり悩んだりして、ストレスを溜め込んでいくタイプ。
(4)取りこし苦労 心配性。何事に対しても、あれこれ考えしまい、しようがないとわかっても、同じことをくり返し、気持ちが休まらずにストレスが溜まる。
「問題はこういうタイプの人たちが、ストレスを感じるところで留まっている内はいいのですが、うつ病などのきっかけを作ってしまうケースがあること。几帳面で完ぺき主義、頑張り屋さんなどは自分の中に閉じこもってしまい、自分に対して減点し過ぎる事が多い。最悪の場合は、自らの命を絶つこともある。辛いときは、周りの人に相談できるのが一番いいのですが…」(神保院長)