脳は表面を3つの膜の層で覆われており、下から軟膜、くも膜、硬膜と呼ぶ。このくも膜の下で軟膜の上にあるくも膜腔には、血管と神経が入っている。それが、まるでくもの巣のようで、細い繊維で出来た網のようになっているところからくも膜という名前になったという。
このくも膜の下の動脈が破れて出血すると、バットで頭を殴られたような激痛や嘔吐、痙攣、首筋が硬くなる頚部硬直などが起こる。これが、くも膜下出血特有の症状だ。
「くも膜下出血は症状も重く、発症後の死亡率は40%と大変高い。それに理由は不明ですが、脳卒中の中で女性の発病者が男性より多いのも特徴的です。逆に脳梗塞は、男性の方が女性より2倍近く多いんです。日本とフィンランドにくも膜下出血が高いという奇妙な現象があるが、まだ十分解明されていません」(佐久間院長)
脳梗塞は手足の痺れや脱力感、言葉のもつれなどの症状が最初にみられる。顔面の麻痺や唇の片側が上手く動かず、よだれを垂らし、食べ物を不用意にこぼすこともある。
また、足の片方が突っ張り、ちょっと突っかかる感じになったりもする。これらはまさしく脳梗塞のサインだ。
こうした脳梗塞には、大別すると、脳の血管に血栓ができる「脳血栓」と心臓にできた血栓が脳血管に詰まる「脳塞栓」に分けられる。脳梗塞の場合、ほとんどは「脳血栓」で、動脈硬化が進んだ結果、発症するといわれる。
したがって、動脈硬化を起こす危険因子を取り除けば、脳血栓の予防ができ、脳梗塞の予防に繋がるというわけ。その動脈硬化の原因として(1)加齢(2)高血圧(3)コレステロール(4)糖尿病(5)喫煙などがある。この5大危険因子に注意を払うのは当然だが、医療専門家は「生活習慣病をなくす努力をすれば防ぐことは可能です」という。
「つまり(1)の加齢を除けば、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足、そして喫煙といった長年の生活習慣の積み重ねが怖い病気につながるわけです。これを改める努力が必要」(医療関係者)
また、別な専門家はこう言う。
「脳梗塞を防ぐにはコレステロールでも善玉(HDLコレステロール)を多くすることです。それが、動脈硬化を予防してくれるからです。肉やバターなどの動物性脂肪の多い食事は悪玉(LDLコレステロール)が多い。その摂取を減らし、善玉を増やす作用のある植物性脂肪を上手に摂るようにしたいですね」
健康に対しては、日頃から前向きに取り組む必要があるということだ。