警察庁の統計では、オレオレ詐欺の認知件数はいまだに上昇傾向にある。昨年は9134件で、前年比7.5%増加している。
「毎日のように、ニュースやワイドショーで『気をつけましょう』と啓発しているのに、被害が年々増え続けているんです。先日も、俳優の斎藤洋介が被害を告白して話題になりましたが、彼はオレオレ詐欺の手口を特集した情報番組にも出演していました。詐欺犯のほうが一枚も二枚も上手なんですよ」(前出・記者)
それなら、「食い詰めている」という暴力団関係者の証言とは真逆だ。再び、この人物に取材すると、こう笑い飛ばした。
「最初にオレオレ詐欺を思いついたヤツは、“犯罪界のノーベル賞”ものだと絶賛された。実にシンプルな手口で大金をせしめることができるからな。それだけに、新規参入組が後を絶たない。そのへんの不良の中高生までやってたケースもあっただろう。要は、詐欺グループが増えすぎて、過当競争になってるんだよ」
この人物によると、異業種からの参入も増えているという。悪質なリフォーム会社が鞍替えしたり、演技力に自信のある劇団員が進出したり、先日も“改元詐欺”をしたとして不動産会社の役員が逮捕されている。
「最初の頃は、オレオレで羽振りのいい半グレに、本職のヤクザがタタキをやってた。若い衆をメンバーに紛れ込ませて幹部連中の自宅や生活パターンを調べ上げる。若い衆はしつけが違うからね。あっという間に信頼されて、幹部の運転手になったりする。そこまでやって、本職が乗り込んで根こそぎ奪うんだ」(同)
そのうち、ビビッた半グレのほうからカネを積んでくるようになったという。
「ところが素人まで参入してきて、1グループ当たりの稼ぎが減ってる。本職に上納している半グレたちは、『稼ぎが減りました』では済まされない。で、タタキを始めたってわけだ」(同)
確かに、オレオレ詐欺の認知件数は増えているが、昨年の被害額は182億8000万円で、前年比12%減。詐欺防止機能の付いた固定電話が普及するなど、高齢者の警戒感も強まっている。オレオレ詐欺で、ぬれ手で粟のように稼げた時代は終焉を迎えているのだ。
それでも詐欺グループは増え続け、“カモの奪い合い”が激しくなっている。
今後もアポ電強盗は増えていくだろう。対策はただ一つ、常に留守番電話にしておくことだ。
「詐欺犯は録音されることを嫌う。親族や親しい人たちには防犯のためと説明し、『留守電に名前を吹き込んでくれれば、こちらからかけ直します』と説明しておけばいい」(前出・記者)
とにかく電話に出るな!