薬物の影響や拘置のストレスで一部報道では激ヤセと報じられ、見るも無残な形相で現れるのではとも思われた酒井被告だが、その顔はむしろややふっくらし、最近のケバケバしさが抜けて以前のアイドル時代に戻ったかのような清潔感が漂う。集まった報道陣からも「昔の顔に戻ったんじゃないか」という声がもれた。
「これまで、酒井法子を応援してくださった皆様、本当にこのたびは申し訳ありませんでした」
午後4時30分、弁護士に付き添われて湾岸署の正面玄関から出てきた酒井被告。黒のパンツスーツに身を包み、確かな足取りで前に進むと、報道陣に向かって深々と一礼した。口を真一文字に結び、表情は硬かったが、時折微笑む表情も。逮捕前に髪を切って染髪したという酒井被告の髪はショートカットで茶色く、根元部分約3センチが黒くなっている状態だった。報道陣からの呼びかけには一切答えず、関係者が用意したワインレッドのワンボックスカーに乗り込み、謝罪会見場へと向かった。この間約2分、あっという間に走り去った。
謝罪会見では保釈時とは違う黒のジャケットとワンピースに着替えて登場。化粧も保釈時のナチュラルメークからアイライン、マスカラもバッチリのフルメークに変更。まさに“女優のりピー”仕様だった。
会見にはレコード会社のビクターエンターテイメントの三枝照夫取締役会長、元所属事務所サンミュージックの相澤正久代表取締役副社長、みやび法律事務所の榊枝真一弁護士の3人も列席した。
三枝会長が「デビュー以来20年同じ道を歩んだ者として」と謝罪を述べると、酒井被告の瞳から大粒の涙が溢れ出す。花柄のハンカチでそれを押さえながら、続いて酒井被告が「薬物というものに自分の弱さゆえに負け、多くの皆様に御迷惑をお掛けしました」と話し出した。途中、話す言葉が難しくなる部分では事前に用意されたと思われる原稿に目を頻繁に落とす場面もあったが、最後はおえつ交じりにファンやスタッフに「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪した。
一方的に謝罪を述べると、報道陣の呼びかけにはここでも一切答えることなく、会場を後に。会見後は直接病院に入院、メンタル面の治療を行うという。
“シャブ中”とは思えない姿を堂々と披露し、流す涙で元清純派の面目を保ったのりピー。10月26日に東京地裁で行われる初公判で何を語るのかに注目が集まるが、この日は、きっちり整えられた身なり、立ち居振る舞いで、“腐ってもアイドル”であることを静かにアピールして見せた。
そんなすきひとつない酒井被告の様子に、報道陣の間からは「まるで映画のワンシーンを見るようだった。『私には芸能界でやっていける力がまだある』というアピール、パフォーマンスではないか」(女性誌記者)との声も聞かれた。
◎謝罪会見全文
このたびは、いち社会人として人として、決して手を出してはいけない、薬物というものに、自分の弱さゆえに負け、そして今このように世間の皆様を騒がし、多くの皆様にご迷惑を掛けました。
これまでに私を支え、応援してくださった皆様には、どれほどの残念さと私の無責任な行動に幻滅なさったことかと。このことには、本当に計り知れない、決して許されることではありません。
この罪の償いを今後どのようにして償っていくのか、まずは自分の罪を悔い改め、二度とこのような事件に手を染めることのない、そういった誓いを一生の約束として固く心に誓います。
私が犯しましたこの度の出来事は、私を知る皆様の信頼をすぐに回復することは、できるものでないことはよくわかっています。
ですが、日々感じております後悔の念、取り返しのつかないことをしてしまった自分の弱さを戒め、反省をし、もう一度生まれ変わった気持ちで心を入れ替え、日々努力していきたく思っております。
そして、このような日々に支えてくださった方々の温かいお気持ちに深く、深く感謝しております。決して二度とこのようなことで皆様の信頼を裏切ることはありません。
この気持ちを決して忘れることなく、皆様のお気持ちに恩返しをしていきたいと思います。いたらぬ点を厳しく指摘していただき、私自身、素直に拝聴して新しい一歩を踏み出していきます。
今まで応援してくださった日本や海外のファンの皆様、お世話になった会社の皆様、そして今まで支えてくださったスタッフの皆様、この度は本当に、本当に申し訳ありませんでした。
◎タトゥーが消えた
逮捕後の報道で足首や左手薬指に入れられたタトゥーが話題になった酒井被告。この日の服装からは足首のタトゥーは確認できなかったものの、保釈時にはやや長めの袖からかろうじて見えた左手薬指の根元にうっすら星型のタトゥーのようなものが見られた。
しかし、なんとその2時間後の謝罪会見時にはそれがきれいさっぱり消えていた。本紙カメラマンがとらえた写真からは、傷跡を隠す際に使う「コンシーラ」などの強力系ファンデーションを厚塗りした感じが見て取れる。
やはり会見で見せた涙は清純派アピールのパフォーマンスだったのか。酒井被告の本当の顔はまだ見えてきていない。
◎湾岸署周辺は興奮状態
この日、酒井被告をひと目見ようと詰め掛けたファン、野次馬の数は保釈から約1時間前の午後3時30分の段階で150人を突破。正面玄関では署員が野次馬を退去させるなどの対応に追われたが、中には報道陣の目をクギ付けにするような“にわかスター”まで出現した
ひと際目立っていたのは「おめでとう!!」と書かれた約3メートル大の横断幕を掲げた都内在住の25歳と26歳の男性2人。約5年前から酒井被告のファンだという。午前中から駆けつけ「やってはいけないことをしてしまったが、お子さんのためにも何とか更生してほしい。酒井被告の目に届くように、ひっそりと横断幕を掲げたい」と話した。
また、従来からのファンではなく、一連の事件報道を見て酒井被告の「人生、生き方に興味を持ち、応援したくなった」という49歳の男性は、「また芸能界に復活してもらいたい」と自分で作ったという、アイドルおたくも顔負けの「のりピープリントTシャツ」を着て激励に駆けつけた。
歌手、女優として波に乗っていた1990年代に酒井被告のファンになったであろう40歳前後が多数を占めていたが、その異様な光景は、あらためて酒井被告の人気の高さと事件が社会に与えた影響の大きさを再確認する皮肉な光景。湾岸署周辺は興奮状態に包まれていた。