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アベノミクス泣き笑い アメ[燃料電池普及策]とムチ[増税計画] トヨタ・ホンダニンマリ 日産がっくり(1)

 アベノミクスに対する世間の評価が二分される中、野心的なシナリオが動き出した。二酸化炭素を排出しないことから「究極のエコカー」と呼ばれている燃料電池車(FCV)。その普及に向け、補助金や税制優遇措置などを検討する政官民の研究会が、6月26日に発足したのである。
 研究会の呼び掛け人は、同日付で会長に就いた小池百合子・元環境相。自民党の若手議員やトヨタ、ホンダ、日産などの自動車会社に加え、JX日鉱日石エネルギー、岩谷産業、川崎重工など計60人が参加した。

 それにしても、研究会の何が野心的なのか。
 「一時は次世代エコカーの本命と目された電気自動車(EV)の普及が伸び悩んでいるのとは対照的に、FCVは2025年に世界で3兆円市場に拡大するとして熱い期待を集めている。これを取り込むには、政官民を挙げてタッグを組むことで『1台1億円』とされる価格をユーザーの手が届く程度まで大幅に下げる必要がある。どう実現させるか、まさにアベノミクスの本気度が問われているのです」(経済記者)

 FCVは水素と酸素を反応させて電気を作り出し、モーターを回して走る自動車。EVが充電に長時間かかり、走行距離が短いのに対し、燃料の水素を約3分で満タンにできる上、500キロ以上の走行が可能だ。
 当然、開発には膨大な費用と時間がかかるが、トヨタはBMW(ドイツ)と共同開発で提携、独自開発を唱えてきたホンダも7月に入って米GMとの共同開発に方向転換した。ハイブリッド車(HV)をエコカーの主力と位置づけてきたトヨタとホンダだが、2015年にはFCV市販車を販売する計画を持っている。
 一方、EVに傾倒していた日産・ルノー連合も、'17年の投入を計画と出遅れてはいるが、ダイムラー(ドイツ)、米フォードと提携するなど、世界の市場開拓に向け躍起になっている。

 ただ、いずれにせよ普及には二つの大きな壁がある。
 政府は'15年までに『水素ステーション』を全国に100カ所整備すると決めたが、これでFCVが一気に普及した場合、どこまでカバーできるかとなると怪しい限り。建設コストは1基5〜6億円に達し、これを全国展開すれば多額の予算が必要になる。実際、ガソリンスタンドで国内市場の3割強のシェアを握るJX日鉱日石エネルギーにしても、試験的に水素ステーションを数カ所設置したばかりで、まだ現実には各社とも手探りの状態だ。

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