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新今宮に欧米観光客が大挙訪れ 揺れる西成区あいりん地区

 3月7日に全面開業を控える日本一の高層ビル『あべのハルカス』(大阪市阿倍野区)。周辺地区には“ハルカス・バブル”を期待し高揚感も漂っているが、その中で注目を集めているのが、同ビルから徒歩約十分の新今宮一帯だ。

 新今宮といえば、“日雇い労働者の町”西成区・あいりん地区の玄関口にあたり、駅周辺には簡易宿泊所が軒を連ねていた。それらが今、外国人観光客向けの格安ホテルに様変わりし、街の雰囲気も国際色豊かになり始めているのだ。
 「外国人観光客といっても、韓国・中国人ではなく、欧米人、それも若者やカップルが中心です。この傾向は、同地区の労働者の減少と高齢化が問題になった4、5年前から始まりました。利用客が少なくなった某簡易宿泊所が、“バックパッカーの聖地”ともいわれるバンコクのカオサン通りにヒントを得て観光客向けの格安ホテルを思いつき、ネットの旅行サイトで海外に情報を発信したところ、予想外の反応があった。そこで、客室や洗面所を洋式に改装し、英語が話せる従業員を雇い対応。この動きを大阪市などもバックアップしたことで、去年の夏頃から国際化に拍車が掛かったのです」(地元記者)

 JR新今宮駅では、旅行パンフレットを持つ欧米人の姿が珍しくなくなった。彼らは駅周辺の格安ホテルに宿泊し、天王寺や新世界、飛田にまで繰り出して、その後、奈良や京都で本格的な観光を楽しむという。
 簡易宿泊所の経営者等による組織『大阪国際ゲストハウス地域創出委員会(OIG)』の関係者はこう話す。
 「新今宮の国際化は自然発生的なもので、一つの時代の流れ。イメージを変えていくためにも絶好のチャンス。カオサン通りの雰囲気を目指したいですね」

 ただし一方で、本来簡易宿泊所を利用している労働者からは、こんな話も聞こえてくる。
 「簡宿が減ったら泊まるとこに困る。観光客にええ顔すんのもええけど、ワシらのことも忘れんといて欲しいわ」

 激変する大阪下町。時代の流れか。

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