(32歳・リフォーム会社勤務)
A:その特集記事は、有名な週刊誌に載りました。特集のタイトルは、愛煙家の歓心を買うものでした。それに対し日本禁煙学会は、「週刊○○の特集『ニコチンでアルツハイマーが防げる! 愛煙家の胸が晴れた』を指弾する」との声明を同学会のホームページで公表しました。
「記事の内容は事実に反しており、なおかつ、根拠とする研究に利益相反の問題がある」というものです。
「ニコチンが神経細胞に対して保護作用を発現することが分かった」との説を紹介していましたが、それを日本禁煙学会の声明は次のように指弾しました。
「過去に、ニコチンがアルツハイマー病を予防するとの非科学的な説が、タバコ産業及びタバコ産業のお抱え学者から流布されていた時代がありました。その後、中立的機関による多数の研究が行われ、喫煙がアルツハイマー病を増加させるとの一貫した結果が示されています」
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一例として、「喫煙者は非喫煙者に比べて1・79倍アルツハイマー病になりやすい、つまり喫煙をすると発病が8割も増えるとされています」と述べています。
ご質問の方は、喫煙にも気分転換などのよい面があると仰っていますが、本人がそう感じるなら、そういう効果はあるということでしょう。しかし、他にもいろいろな方法があります。別に喫煙に頼らなくてもよいでしょう。
しかも、気分転換になってリラックスできたと思っても、喫煙は末梢血管を収縮させ、血流量は減っています。普通は、リラックスすると末梢の血流量は増えるものです。おかしいと思いませんか。
喫煙は体にとって百害あって一利なしです。副流煙の害もあります。是非この際、禁煙するようお勧めします。
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中原英臣氏(山野医療専門学校副校長)
東京慈恵会医科大学卒業。山梨医科大学助教授、新渡戸文化短期大学学長等を歴任。専門はウイルス学、衛生学。テレビ出演も多く、幅広い知識、深い見解を駆使した分かりやすい解説が好評。