A:顎関節症と思われます。顎関節症とは、顎関節や咀嚼筋の痛み、関節(雑)音、開口障害、顎運動の異常などの慢性疾患の総称。背景に、顎関節や咀嚼筋の障害、変形性関節症などがあると考えられます。
もっと簡単に説明すると、顎を動かすとき、顎の関節(上顎骨と下顎骨の接合部分)やその周りの筋肉に痛みが生じ、お尋ねのような音がするのです。
また、顎を動かしたときだけでなく、その部分を押しても痛みを感じることがあります。顎を大きく動かせば、よけい痛くなったりもします。
●原因は噛み合わせの異常
主な原因は、噛み合わせの異常と考えられていますが、他に、食いしばりや歯ぎしり、ストレス、片側で噛む癖などが挙げられます。
いずれにせよ、噛み合わせの異常や上顎骨、下顎骨などの形態、機能の異常がかかわっています。
治療は、まず噛み合わせを正常にすること。虫歯がある場合は治療をして、さらに噛み合わせを正常にしなければなりません。
それでも改善しない場合は、筋肉の緊張をとるために、マウスピースやスプリントを装着したり、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬を用います。ただし、マウスピースやスプリントを使用してもなかなか改善しにくいものです。
では、どうすればいいのか。ずばり、骨盤からアプローチすればよいわけです。
●骨盤と顎の歪みを調整
細かい説明は省きますが、骨盤の歪みは全身の骨格に影響し、背骨をゆがませます。つまり、顎の骨が関係している首の骨(頸椎)をもゆがませるのです。
ゆえに、骨盤のゆがみを解消すると、顎関節も正常になります。それが、噛み合わせによい影響を与えるのです。
顎関節の異常は骨盤の歪みを取らないと改善しないというのは、今や大学病院の歯科では常識となっています。私のクリニックでは、歯科と骨盤調整(ペルピック・セラピー)の両面からアプローチし、顎関節症を解消させています。
ただし、この方法を行っている医療機関は少ないのが難点。骨盤のゆがみの改善を自分で行う方法として、ゴムのバンドを巻いて腰を回す運動があります。
顎の歪みには、壁に背をつけ、背筋を伸ばして顎を引いて立ち、口を「イーッ」と左右に引くストレッチがお勧めです。これらを行うだけでも、かなり効果は期待できるでしょう。
山田 晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、骨盤のゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。