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専門医に聞け! Q&A “早食い”は百害あって一利なし

 Q:ストレスのせいでしょうが、慢性胃炎です。お医者さんからは、食事はゆっくり、よく噛んで食べるようにと言われています。早食いは長年の習慣のため、なかなか直りません。また、歯周病の気味がありますが、これも早食いが影響していているのでしょうか。アドバイスをお願いします。(45歳、営業マン)

 A:日本のビジネス社会は、昔から昼食をゆっくりとる習慣がありません。そのため、早食いが身についてしまいます。というより、早食いができて初めて一人前のサラリーマンとさえ言われたものです。
 それはともかく、早食いが消化によくないというのは、改めて言うまでもないことでしょう。
 おいしいものを目の前にすると、唾液の分泌が活発になります。唾液の中には、食べたものの消化を促進する消化酵素が含まれています。

●早食いは歯の病気のリスクも高まる
 消化酵素は胃などの消化管からも分泌されますが、それらが十分に分泌されるためには、落ち着いた気持ちでゆっくり食べることが必要です。
 歯科の領域からも、早食いできちんと噛まないのは、よくありません。なぜなら、唾液には抗菌成分も含まれています。その唾液が十分に分泌されないならば、そのぶん、虫歯や歯周病になるリスクが高くなるからです。
 また、噛むことは大脳をダイレクトに刺激し、認知症(痴呆症)の予防に役立つし、集中力を高めるとともにストレスをやわらげます。よく噛んで食べると、少ない量の食事で満足でき、間接的に肥満の予防にもなります。
 では、どうすればよいでしょうか。現代の人がよく噛まないことの理由の一つとして、軟らかい食品や料理を多食することにあります。ですから、よく噛むためには、噛めば噛むほど味が出て美味しい食材を選ぶことが大事です。といっても、難しく考える必要はありません。和風の献立を基本にすればよいのです。
 主食は噛みごたえのある玄米や胚芽米にして、おかずの食材は大豆などの豆類、根菜類、葉野菜、キノコ類、魚、海藻類などを選びます。玄米に雑穀を混ぜた五穀米、十穀米もオススメです。ちなみに、パンは、フランスパンやライ麦パンは、噛みごたえがあるので、自然に噛む回数が増えます。
 早食いを改める方法としては、食事のときに雑誌を読んだり、テレビを見たりして、意識的に食事に集中しないようにするのも一つの方法です。ゆったりした気持ちで食べるように心がければ、それだけでも早食いが少し改まるでしょう。

山田晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、骨盤のゆがみに着目。そのゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。

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