「'96年、最大11.5ゲーム差もあったのに、広島は当時の長嶋巨人にひっくり返され、『メークドラマ』の引き立て役にされてしまいました。当時のことを体験した選手はいませんが、緒方孝市監督(47)や一部コーチはまだ覚えています。新井貴浩も'08年に、阪神で『メークレジェンド』の引き立て役にされた悔しさは忘れていません」(地元メディア陣の1人)
広島版メークドラマが始まった。今シーズン前半戦の牽引役が2000本安打を達成した新井だとすれば、勝負どころの後半戦、チームのまとめ役となるのは、男・黒田博樹(40)である。
「新井が2000本安打を達成する直前、チームは『1日でも早く』と盛り上がっていました。黒田はチーム内に強い影響力を持ったエースです。その男が節目の200勝を達成するとなれば、チームはさらに活気づくはず」(同)
今の広島に対し、「好調過ぎる。一度はつまずくのでは?」と懸念する声もないわけではない。だが「神ってる」とも称される広島について、優勝を確証するデータも出てきた。
プロ野球の過去の歴史を振り返ると、2位に10ゲーム以上引き離して首位ターンしたチームの出現は'03年の阪神以来、9年ぶり。今季の広島は9チーム目となるが、過去8チームはすべて優勝している(メークドラマ時は10ゲーム以内)。
また、7月13日の前半戦最終ゲームでのことだ。同日は黒田が200勝達成に挑戦した2度目の試合でもあった。ここで黒田が勝っていたら、2位巨人とのゲーム差は「12」に広がっていた。メークドラマが「11.5」だったわけだから、2位ヨシノブ巨人にとってそれ以上の過酷な数字、事実上の終戦となっていた。
「黒田の200勝をかけた挑戦ですが、本人はあまりこだわっていないようです。でも、広島打線は逆に緊張してた」(スポーツ紙記者)
この現象は、優勝候補の筆頭に挙げられながら、実力を発揮できなかった昨季と同じだ。しかし、今季は違う。緒方監督はしたたかな一手をすでに打っていた。
「広島からオールスター戦に選ばれたのは7人。投手では野村祐輔と中崎翔太の2人だけ。黒田も選ばれて当然でしたが、緒方監督が巧く交渉したようです」(球界関係者)