これは、覚せい剤や違法ドラッグが出回っているということと同時に、覚せい剤の恐ろしさがよくわかっておらず、安易な気持ちで手を出してしまう人が多いからであるかも知れない。
そこで心の薬を扱う『精神科薬物療法認定薬剤師』のはらけいこさんに、覚せい剤についてインタビューしてみた。
(インタビュアー・巨椋修(おぐらおさむ))
巨椋修(おぐらおさむ・以下巨椋)「覚せい剤って体に悪いとか聞くんですが、具体的にはどう悪いんでしょうか?」
はらけいこ(以下はら)「覚せい剤の恐ろしさは、自分で自分のことをコントロールできなくなることですね。簡単にノンコントロール状態になってしまうんです」
巨椋「ノンコントロールってどういう状態のことなんでしょう?」
はら「わかりやすくいえば、精神的に異常な状態になってしまい、適切な判断ができなくなるということです」
巨椋「それは精神病のような…?」
はら「覚せい剤を摂取することで、精神が刺激されて、『幻覚』『幻視』『幻聴』『妄想』がでてくることもあります。何でもできるような気持ちになる『誇大妄想』が出てくることもありますし、逆にみんなが自分を責めているような『被害妄想』になってしまいます。しかもそれがコントロールできなくなるんです」
巨椋「それで、覚せい剤を使用したあとに、妄想とかに苦しんで人を殺してしまう人がでてくるんですね」
はら「薬の影響で、脳神経のバランスが崩れてしまうため、そのときには多幸感や快感があるのですが、一面でおかしな行動をしてしまうことがあります。それと、依存性がすごく強いんです」
巨椋「つまり、一度やるとなかなかやめられないと」
はら「そういうことですね。脳へのダメージは不可逆的なことがあるので、本当に恐ろしいと思います」
巨椋「脳細胞って、一度壊れるともう元に戻らないんですよね。自分で自分をコントロールできなくなったり、本当に恐ろしい薬なんですね。勉強になりました。ありがとうございました」
また、覚せい剤の検挙者のうち再犯者が占める割合は過去最高の59.3%になった。
この再犯率の高さが、覚せい剤の依存度の高さを表しているともいえる。
有名人でも、覚せい剤を再犯してしまう人も多い。小向美奈子、田代まさし、清水健太郎といった人たちは皆再犯してしまった人たちである。
おそらく身を滅ぼすとわかっていて覚せい剤に手を出してしまうのであろう。あるいは、身を滅ぼしてもいいと思っているのかも知れない。見つからなければいいと思っているのかも知れない。
覚せい剤は、元々日本で開発された薬である。その目的は疲労回復であったという。いまでは、SEXドラックやダイエット薬として使用する人もいるという。一回だけという軽い気持ちではじめてしまう人も多くいるという。警察の発表では、最近では、中高年の検挙者が過去最高の多さになっているという。
一時的な快楽のために、一生苦しめられかねないドラックに手を出すというのは、どう考えても得策とはいえないだろう。
巨椋修(おぐらおさむ)