千葉地検は先ごろ、覚せい剤約1.9キロ(末端価格1億3000万円相当)を成田空港に密輸しようとしたドイツ国籍の無職、ジノ・ミシャエル・アンドレアス・ボルゴルティ容疑者(25)を起訴した。
「成田税関によれば、バスローブとジャンパーのライナーに覚せい剤を染み込ませ密輸入しようとしていたとのこと。税関職員が異様な重さに気付き調べたところ、発覚したのです」(社会部記者)
液体化した覚せい剤を衣服に染みこませ密輸する手口が発覚したのは、国内ではこれが4件目。
薬物捜査の長い警察関係者が言う。
「液体にした覚せい剤を衣服にふりかけると、当然、それを元に戻さなければならない。方法は、衣類をエタノールで煮込み、一晩もすると表面に覚せい剤が浮いてくる。それを掬い取って今度は水分を飛ばし、結晶化させるわけです」
覚せい剤だけではない。ヘロインやコカインもさまざまな手口で密輸されているという。例えば、こんなケースもあった。
「女性の豊胸手術のパットに液化したコカインを注入する。それを密輸した後、日本で再び女性の胸を切開してパットとコカインを取り出す。また、粘土にコカインを混ぜてオブジェを作り密輸していた例もありました」(前出・社会部記者)
横浜では、メキシコ発の船便コンテナの中に、覚せい剤を内部に隠した重さ約10トンの加工石2個が見つかっていたことが3月6日に判明している。神奈川、福岡両県警が税関当局と共に内偵捜査を行い、メキシコ人の男(39)ら5人を覚せい剤取締法違反(営利目的所持)容疑で逮捕した。
「覚せい剤は直方体に成形した後、加工石で周囲を固めたとみられます。税関のX線検査の結果、その量は計300キロ前後でしょう」(捜査関係者)
あの手この手で密輸される違法薬物。東京五輪が近づき取り締まりが厳しくなるにつれ、さらに仰天の手口が現れそうだ。