堂々とマスコミの前に出てきて状況を説明するなど、もっと迅速、かつ誠実に対応していれば、ここまで火の手が広がらなかっただろう。いまや、田中批判は日を追って高まるばかりだ。この事態を誰よりも心配しているのが、実は大相撲の小結遠藤(27)である。
田中理事長はかつて“アマ相撲界の大鵬”と言われ、No.1のアマ横綱に3回も輝くなど、34個ものタイトルを取っているレジェンド。学生相撲界の名門、日大相撲部監督(現在は総監督)としても名を馳せ、これまで横綱輪島、大関琴光喜ら、58人もの教え子たちを大相撲に送り出している。そんな田中理事長が最もかわいがっている教え子こそ、イケメン力士の遠藤なのだ。
「田中理事長というよりも、ワンマンの田中理事長が唯一頭のあがらない存在である奥さん、優子さんのお気に入り、と言っていいでしょう。2人には子供がいないこともあって、そのかわいがりぶりは大変なものです」(担当記者)
その溺愛ぶりが、どんなものか。平成26年の春場所前、つまり、遠藤が入門してわずか1年で三役目前の東前頭筆頭に上がった時に、四股名からとった『藤の会』という後援会を立ち上げてあげたことでも分かる。それも東京ばかりでなく、大阪、名古屋、博多など、大相撲が開催される地域に支部が置かれ、場所前になると盛大に激励会を開いている。
「この藤の会は日大校友会が主催で、会長は田中理事長。会員は116万人とも言われている日大OBで構成。遠藤が力士たちの間で一目置かれているのも当然です。初めて小結に上がったこの夏場所前も、都内のホテルで大々的に激励会を開き、田中理事長自ら挨拶に立って、『いまがチャンスだ、しっかり努力して上に這い上がれ』と叱咤していました」(大相撲界関係者)
激励会は、言って見れば力士の集金組織。これだけ大がかりにバックアップすれば、遠藤のフトコロに流れる金額も相当なものだ。
それを裏付けるように、遠藤は5月26日付で3月の春場所前に停年退職した元関脇麒麟児の北陣親方から、1億円以上もする年寄株『北陣』を譲り受けた。初土俵からわずか5年で年寄株を入手するのは異例だ。
これで遠藤は引退後も大相撲界に残留できる身分保証を得たことになる。だが、大恩ある田中理事長が大ピンチに陥り、夏場所中、気が気ではなかったのは確か。まさに「心ここにあらず」といった感じで、右腕を痛めて途中休場する不運も重なり、3勝10敗2休と大敗。
「またしっかり体調を整えてがんばる」
千秋楽の支度部屋で、そう声を絞り出すのがやっとだった遠藤。田中理事長も罪なことをしたものだ…。