A:ご質問の方は、症状から「咽喉頭異常感症」といわれるものと思われます。
この病気は、喉に何も異常はないのに違和感があります。代表的な症状としては、喉が詰まったり何か引っかかっている、せき払いをしたい、などがあります。
喉に何かできていると思い、物が飲み込みづらいと感じる場合もあります。これらの症状が続くと、意識が喉から離れず、不安感を覚え、食事も喉を通らなくなったりするでしょう。
●女性に多くみられる
この病気が多くみられるのは女性で、症状を深刻に受け止める傾向も女性のほうが男性よりも強いようです。
ご質問の方は、10代の頃から続いているそうですが、それによる不安感は持ってはいないようですね。
咳払いが高じて“えへん虫”となると、周囲の人からうるさがられます。咽喉頭異常感症は、以前は「ヒステリー球」とも言われていました。ヒステリーはストレスに反応しやすく、精神的にも身体的にも異常を来しやすい状態です。
●楽しいこと、気持ちいいことをしよう
東洋医学には、「梅核気」が咽喉頭異常感症に相当します。
核は種であり、梅核気は喉に梅の種があるような感じを表しています。
この梅核気という言葉があるように、ストレスにさらされ、喉に異常を感じることは古くからよく知られていました。昔は、「吐けども吐けず、飲み込めども飲み込めず」といったものです。
咽喉頭異常感症の喉の異常は、ストレスによって体に負担がかかっているというサインなのです。喫煙は関係ありません。
ストレスによって、心と体が負担を感じているわけですから、対策は単純です。楽しいこと、気持ちがよくなることをすればいいのです。そう思えることは体によいので、喉の異常は感じなくなります。
“えへん虫”が出てきたら、気持ちがいいことを心掛けましょう。
自分で楽しくなること、気持ちがよくなること(方法)を知っておき、それを実践すればよいのです。コーヒー一杯でも気分は変えられます。
ちなみに、梅核気に用いる漢方薬に「半夏厚朴湯」があります。
三浦於菟氏(東邦大学医学部医療センター大森病院東洋医学科教授)
東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。日本医科大学附属病院東洋医学科助教授を経て現職。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。