高知県H郡で暮らす日野要一郎さん(仮名・84歳)は、14歳の秋に、そんな性人式によって大人の仲間入りを果たしたという。
「従兄や遊び仲間だった近所のお兄さんから聞いてたんで、どんな風習かは知っとったよ。だから、親父に『来週、○○さんの家に行ってこい』と言われたときは、『ついに自分の番が来たか!』と、嬉しさや興奮やらで、前日はほとんど眠れんかったのを、つい先日のように思い出すよ」
●「食いすぎると動けんくなるから腹八分目にしとけ」
当日は一番風呂に入ることを許され、「清めるという意味を込めて、いつもより念入りに身体を洗った」という日野さん。風呂から上がると、赤飯など普段は口にできないごちそうが食卓に並んでいたそうだ。
「親父には『食いすぎると、あとで動けんくなるから腹八分目にしとけ』と注意されとった。まあ、緊張で喉を通らんかったというのが正直なところだけどな(笑)」
この“性人式”では女性が終始リードしてくれ、恥をかくことはなかったそうだが、あまりの気持ち良さに果てたまま寝入ってしまったそう。
「彼女は未亡人だったんで、夜のうちに帰らなきゃいけないわけじゃなかったが、朝帰りって恥ずかしいもんじゃ。しかも、目が覚めたら彼女が微笑んで『寝顔は可愛いのに昨日は激しかったわね』と言われたのが恥ずかしくてのう。おかげで帰るまで、彼女の顔を直視することができんかったわ」
高校卒業後は大阪で就職し、結婚するまでに2〜3人の女性と関係を持ったそうだが、「初体験以上に印象に残ったセックスはなかった」と振り返る。
「少なくとも自分が大人になるきっかけをつくってくれた。その意味では風習や彼女にも感謝しとるよ」