「自治体の名称変更は、市町村合併の際にはよくあることで、それ自体は決して珍しいことではない。しかし財政難を理由に、というのは前代未聞のこと。市議会では案が出た今年3月時点でも『歴史ある市名を売るとはなにごと』と反対意見が圧倒的だったのに加え、改名は最終的に議会の承認が不可欠なだけに、実現は不可能と見られているのです」(政治部記者)
ところが市当局は真剣そのもの。あくまで実施の構えを見せ、ついに募集要項の発表に踏み切った。もし改名するとして、必要な“お値段”は100〜200億円前後。これに市名変更に伴う“事務経費”が約10億プラスされる。契約期間は10年以上。正式な応募受付は今年の11月からで、応募があれば審査の上、来年1月に新しい市名が決定するという。
しかし、市長公室の射手矢光輝氏は「3月の計画発表以来、ここまで100件以上の問い合わせがありました」と胸を張るものの、具体的な問い合わせとなると「まだゼロです」(同)という。それにしても、ここまでしてネーミングライツにこだわる理由は何なのか?
「市名変更に関しては、たとえ話がまとまらなくても、その間、泉佐野の名前が出るだけで何らかの経済効果が期待できるじゃないですか。それにネーミングライツは、有形無形可能な限りの市有財産が対象であって、市名変更はその極端な例ということなんですよ」(射手矢氏)
財政危機もここまでくれば開き直って目立ってナンボということか。気になるのは、そもそもこの案を、誰が持ち出したかだ。それについてはこんな話も聞こえてくる。
「実は千代松大耕市長の周りに強烈な『大阪維新の会』の支持者、関係者がいましてね。その人たちが市長を焚きつけたという声があるのです」(革新系市議)
確かに橋下徹大阪市長は、このネーミングライツ問題を「面白いアイデア」と評価していた。影にいたのはやっぱりアノ人だった?