A:ノロウイルスは乳幼児から高齢者に至る広い年齢層で、急性胃腸炎を引き起こすウイルスです。11月から3月の、主に冬季に多発しますが、年間を通して患者はみられます。昨年に大流行しましたが、今年に入ってから減り続けているようです。ピークは越えたようですが、まだ小さな流行が再度来るとみられています。
一方、インフルエンザについては、東京都は1月17日、「インフルエンザの流行注意報」を発令しました。今後、本格的な流行があると予想されているようです。
●喉が潤っていれば大丈夫
ノロウイルス、インフルエンザともにウイルスが原因の感染症で、人から人にうつります。しかし、流行してウイルスに接しても、発病する人としない人がいます。その違いは、免疫力にあるといわれます。その点は間違いないのですが、これではわかったようで、わかりませんよね。
そこで、より具体的に説明すると、鼻の機能が十分に使われ、咽頭、喉頭などが乾燥せず潤っていれば、ノロウイルスにもインフルエンザにもかかることはほぼありません。
咽頭、喉頭は免疫を担当しており、ここでウイルスをシャットアウトしますが、その機能を十分果たすためには潤っていることが条件です。
では、咽頭、喉頭がなぜ乾燥するのでしょうか、その最大の理由は、鼻ではなく口で呼吸することにあります。本人は自覚していませんが、口を半開きにした口呼吸が癖になっている人が多くいます。
そして、口呼吸の習慣は、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーやさまざまな病気の発症に関係しています。
●口の体操「あいうべ」で予防
言い換えると、口呼吸の習慣を直すと、ノロウイルスやインフルエンザにかかりにくくなります。口呼吸の改善のために、私が考案し勧めている方法の一つが、口の体操の「あいうべ」です。次のように行います。
(1)「あー」と、口を大きく開く。
(2)「いー」と、口を横に大きく開く。
(3)「うー」と、口を強く前に出す。
(4)「べー」と、舌を突き出して思い切り下に伸ばす。
学校で「あいうべ」を行い、インフルエンザの発症者がほぼゼロに抑えられたケースがあります。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。