女性2人の写真は5月20日、アルマニのフェイスブックに掲載され、これをワシントンにあるISなど過激派のソーシャルメディアでの発言や交信を追跡している組織『中東メディア研究所』がキャッチ。米紙ワシントン・ポストが報道して明らかになった。ISの奴隷となっている女性の大半はイラクの少数派ヤジド教徒。約5000人が奴隷になっているとされ、ラッカなどの奴隷市場で売買が行われてきた。
「アルマニは『この奴隷は2人とも8000ドル(約88万円)だ。買わないか』と述べ、フェイスブックの友人らにイラクとシリアのIS支配地域に来て結婚したらどうかと持ち掛けました。アルマニが自分の“性奴隷”を出したのか、他の戦闘員の代行でやっているのかは明らかではありません。ちなみに2人の写真は、すぐに管理者によって削除されました」(通信社記者)
アルマニはドイツ国籍とみられ、これまでもフェイスブック上でISへの献金を呼び掛けてきた。自らの極悪ぶりを世界中に見せつけてきたISだが、今回の残虐行為は資金面でいよいよ窮地に立たされていることの証明と言えるのではないか。
「ISはソーシャルメディアでの大規模な広報活動を通じ、カタールやクウェートのシンパから献金を募っていますが、周辺には支援に積極的な国はもうほとんどない。過去に武装組織を支援していたイランとシリアも今では敵意を隠していません。資金源は2014年6月にシリア東部で強奪した油田からの石油収入やイラクのモスルで略奪した金品、人質の身代金など。しかし、これまでにイラク占領地の45%、シリアで20%をそれぞれ失い、軍司令官のオマル・シシャニや指導者バグダディに次ぐナンバー2のハジ・イマムら幹部も約半数が死亡しました。米軍の攻撃で20カ所を超える現金貯蔵庫や多数の石油関連施設が破壊され、戦闘員の給料も半減。首都と宣言しているラッカ(シリア北部)制圧作戦も開始され、戦闘員らが浮き足立っていると伝えられています」(中東情勢に詳しいジャーナリスト)
拉致ビジネスも'15年2月に殺害された米国人援助活動家カイラ・ミューラーさんが最後の外国人人質だった可能性があり、身代金という資金源も断たれているようだ。
「ジャーナリストの安田純平さんを拉致し、日本政府に身代金1000万ドル(約11億円)を要求しているヌスラ戦線が『ISに引き渡す』と恫喝しているのも、彼らの資金枯渇を見据えてのことかもしれません」(同ジャーナリスト)
それにしても、女性への虐待がネット・オークションにまで広がったことは許しがたい。