維新関係者がこう話す。
「発端は小沢鋭仁国対委員長が、これを『ベストな人事』と称賛し、橋下徹共同代表が『岩田規久男学習院大教授を総裁に、黒田氏を副総裁にするのが維新の哲学』と噛み付いたことから。この発言に維新国会議員団から『橋下は口を出すな!』との声が上がり、内紛が表面化したのです」
ちなみに、この国会議員団の物言いにブチ切れた橋下氏は、会見を開き「そこまで言われて、代表にしがみ付く気はない!」などと辞任を示唆して応酬したほど。後に松井一郎幹事長が仲裁に入り騒動は終息したが、実はこの火種がいまだに党内で燻っているのだ。
政治部記者がこう語る。
「騒動は日頃から橋下氏や地方議員らを、上から目線で見ていた国会議員団の傲りが原因。ただ、党内は“八派分裂”と評されるほど著しい内部分裂を招いており、今後は亀裂が一気に拡大する可能性が高いのです」
中でも対立が酷いのは、石原氏率いる旧太陽の党議員らと大阪府議団と伝えられている。原因は総選挙後に府議団の要求を平沼赳夫、片山虎之助両氏らがことごとく覆してきたためだが、そのためか一部では不気味な見方も浮上しているのだ。
「府議団には、片山氏らの頭目である石原氏に対する憎悪の声が蔓延しており、橋下氏も原発やTPP問題で温度差のある旧太陽の党との合流を悔やんでいるという。そのため、党内からは参院選後に不満分子を一掃する、『新維新の会』の立ち上げが叫ばれ始めているのです」(前出・維新関係者)
ただ、その一方で“宿敵”である安倍総理は、内紛騒動の最中に日銀総裁人事に理解を求める電話を橋下、松井両氏に掛けたほど。この余裕ぶりからすると、橋下氏は参院選でも足元をすくわれかねないのである。