「これまで、次期総理の筆頭と見られていた麻生太郎副総理兼財務相と安倍総理の間に、隙間風が吹き始めたからなのです。理由は、麻生が陰で安倍の体調不良説を言いふらしていること。それに加え、4月に安倍に無断で靖国参拝したため、両者の間に険悪なムードが漂っているのです」(官邸詰め記者)
また、その一方では党内の“谷垣評”も高まりだしているという。
「自民党の野党時代に、谷垣氏は地方選や参院選で連戦連勝。離脱者もほとんど出さず、党運営をしてきたことは知られているが、法相に就任以来、5人の死刑を執行し、『できる法相』の評価を得ている。さらに、同氏は財政規律派として、本来は“小さな政府派”の安倍総理とも考えが合う。こうした理由から、安倍総理が谷垣氏を急速に褒めちぎりだしているのです」(全国紙編集委員)
ちなみに、谷垣氏は昨年9月に行われた総裁選直前に、在籍する『宏池会』(現岸田派)の長老・古賀誠元幹事長からダメだしを食らい、出馬を断念した経緯がある。その後、同会を離脱して政策研究会『有隣会』を立ち上げ、40人を擁するまでに足場を固めたが、「屈辱を乗り越える打たれ強さと存在感にも、安倍総理は注目している」(同)と伝えられているのだ。
もっとも、気になるのは当の谷垣氏がこの状況をどう見ているかだが、本人は俄然やる気を見せているという。谷垣氏を支持する議員が言う。
「苦汁を飲まされた総裁選後、党内からは死に体の谷垣氏を衆院議長に推す声が出た。ただ、これは政治家として一丁あがりのコース。谷垣氏はそれを固辞し、『有隣会』を設立して現職閣僚獲りに動いた経緯がある。そのため、最近は高まりつつある評価を鑑み、さらに確実に実務をこなしている。あわよくば、次期総理のイスが転がり込むことを十分意識しているのです」
ダークホースが、本命に踊り出る?