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『広辞苑』に「朝鮮人強制連行」はあっても「日本人拉致事件」がないのはなぜ?

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提供:週刊実話

 中国ではアメリカの呼称を「美国」としている。

 「米中関係」を中国では「中美関係」と言うが、中国における「美」は「羊は大きい」という意味で、日本語が指す美人とか、きれいな景色という意味よりも「おいしいもの」「豊なもの」というニュアンスに重きが置かれている。すなわち、決して美しい国と思っているわけではない。

 一方、台湾国民党系メディアの言う「中美関係」とは、台湾とアメリカの関係であり、中米関係を「陸美関係」と書く。「陸」はいうまでもなく「中国大陸」の意味だ。

 また、中国語にはカタカナがないので、外来語や外国人、固有名刺に漢字を選ぶ際に、ふさわしい意味を込めて発音に近い語彙を宛てるので、「トランプ」を中国系は「特朗普」と表現し、台湾では「川普」となる。前者はティランプ、後者はツァンプに聞こえる。ちなみにレーガンを中国は「黒根」、台湾が「雷根」と表現していた。

 翻って日本語の話だ。今年6月、日本を代表する国語辞典『広辞苑』(岩波書店)が10年ぶりの改訂(第7版)を行った。実は広辞苑には、北朝鮮による「拉致事件」についての記述がない。結論から言うと、日本が被害者の事項はなるべく無視するというのが広辞苑の基本スタンスだからだ。

 従って「広辞苑によれば…」と引用されているとき、国語に関してはともかく、歴史用語については鵜呑みにしてはならない。

 「朝鮮人強制連行」は、第6版では「日中戦争・太平洋戦争期に100万人を超える朝鮮人を内地・樺太(サハリン)・沖縄・東南アジアなどに強制連行し、労務者や軍夫などとして強制就労させたこと。女性の一部は日本軍の慰安婦とされた」と書かれている。

 「この記述は第4版から出現しましたが、第7版ではこうなっています。《日中戦争・太平洋戦争期に多数の朝鮮人を日本内地・樺太(サハリン)・沖縄・東南アジアなどに連行し、工場・鉱山の労務者や戦地の軍夫・慰安婦などとして強制就労・服務させたこと。労務者だけで約70万人に達した》。『強制連行』から強制が消え『連行』になり、100万人が70万人と30万人減っている。10年で30万人が消えてしまったわけです。『従軍慰安婦』について第6版は《日中戦争・太平洋戦争期、日本軍管理下に戦地の慰安所で将兵の性の対象とされた女性。植民地・占領地の女性も多く含まれており、徴募や服務にあたって強制があった》と記述され、これも第4版から出ていますが、こちらは第7版でも全く同じ記述です」(政治ジャーナリスト)

 朝日新聞は2014年8月5日に、従軍慰安婦問題を巡る報道について誤りがあったとして、検証記事を掲載している。ところが、日本の代表的辞典は、朝日新聞の訂正のテの字も記述していない。

 世界の社会情勢や図版、地図などを収録し、百科事典も兼ねる『広辞苑』だが、“百科”ではない部分もあるようだ。

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