そんな“沸騰”に水を差すような調査結果が出た。希少なウイスキーの指標を発表している『レアウイスキー101』が、スコットランド大学環境研究センターに調査を依頼し、流通市場に出回っているスコッチ55本をサンプルとして放射性炭素年代測定をしたところ、21本が完全な偽物か、ラベルに表記された年に蒸留されていないことが分かった。
レアウイスキー101の共同創業者であるデービッド・ロバートソン氏は「本物だと証明されていない限り、シングルモルトだとうたっているウイスキーで1900年以前の製造だと主張しているボトルすべてと、その後のボトルの多くが偽物だというのが、当社の偽らざる見解だ」と主張、「希少ウイスキーの価格が上昇を続ける限り、この問題が解決へ向かうことはないだろう」と述べている。
スコッチの蒸留年代に疑惑を目が向けられたのは、今に始まったことではなく、年代物のスコッチが高値で取引され始めた2010年代から「?マーク」が付けられるようになった。そこで注目を集めるのが日本産のシングルモルト・ウイスキーだ。
昨年1月、サントリースピリッツのシングルモルト・ウイスキー『山崎50年』が香港のオークションにかけられ、3250万円に達した落札額が話題に上った。
11年に150本限定で発売された当時の価格は100万円だから、7年で32倍超に跳ね上がった高騰ぶりは、日本産ウイスキーへの投資熱をあらためて世界に示した形となった。
「海外の富裕層はレアで超年代物の日本産ウイスキーを欲しています。すでにウイスキーやワインは、もはや飲料ではなく投資すべき対象ですからね。海外で偽ボトルが出回るなどのリスクも顕在化していますが、全体として価格の上昇トレンドは続くでしょう」(買い取り専門店)
ワインも負けてはいない。昨年10月にサザビーズのオークションに出品された最高級ワイン『ロマネ・コンティ』の落札価格は6500万円。サザビーズにおける1本当たりの落札価格としては、史上最高額である。
ただし、投資である以上リスクはある。日本では、ワイン投資ファンドの『ヴァンネット』がずさんな投資で16年に経営破綻する事件も起きている。
自分が理解できないものには投資しないという原則を守り、許容できるリスクを見極めることが肝要だ。