待遇が良く、ポスティング制度を認めていない巨人の主力は、FA権を持つ阿部慎之助や内海哲也のように“生涯巨人”を選択する選手が多い。
そんな中でもメジャー挑戦の野心を抱いているのが、原巨人の“勝利の方程式”を形成する抑えのエース西村健太朗投手(28)と、ダイヤモンドバックス傘下のマイナーから育成選手で巨人に入団した山口鉄也投手(30)だ。昨年、巨人の先輩・上原浩治投手(レッドソックス)が、守護神としてボストンはおろか、世界中を熱狂の渦に包んだことから、メジャー挑戦に恋焦がれているのだという。
その情報をいち早くキャッチした巨人は、昨年末の契約更改で山口と、中継ぎ投手では史上最高額、育成選手では初の3億円超えとなる8000万円増の3億2000万円で契約。渡米の芽を摘み取り、本人に「生涯巨人」を誓わせた。
一方、今オフに国内FA、来オフに海外FA資格を得る守護神3年目の西村は本気モードだ。今年もチャンドラー(米アリゾナ州)で自主トレを行い、キャンプインに備えた。
「アリゾナでの自主トレは、'09年に手術を受けた右肘のケアやスポーツジムで上半身強化のトレーニングを行うためですが、このジムにはメジャー通算189セーブのJ・Jプッツ(ダイヤモンドバックス)をはじめ有力選手が通う。そこで人脈を築き、情報を得ているのです。上原も直伝のフォークのメジャー流の操り方を伝授し、米球界入りを誘っている。まあ、ナベツネさんがいる限りポスティング移籍は無理でしょうから、FA権を得る来オフには上原の後を追うはずです。イチローを慕う川崎宗則(ブルージェイズ)と同じくらい、西村も上原を尊敬していますから」(ベテラン巨人担当記者)
そのせいなのだろう、今キャンプの巨人の最優先課題はストッパーの強化。原監督は「抑え投手は複数で競わせ、白紙から始める」と宣言している。
“日給630万円”でアメリカへすっ飛んで行ったマー君の余波は、とどまることを知らない。