ここで裁判長は、一審・東京地裁の裁判員裁判で出された死刑判決を破棄、無期懲役の判決を言い渡した。裁判員制度が始まってから一審の死刑判決が高裁で破棄されたのは、これが初めてだ。
「伊能被告は事件前、'09年の5月に旭川刑務所を出所し、上京して複数の建設会社で働いたものの、長くは続きませんでした。結局、生活保護をもらいながら社会福祉施設に居住していたのですが、事件の日に姿を消したんです。そもそも、なぜ旭川刑務所に入っていたのか。それは、家族を殺害した前科があるからなんです」(司法記者)
'88年、伊能被告は妻を刺殺して自宅に放火。子供を焼死させ、殺人や放火などの罪で懲役20年の判決を受け、服役していたのである。一審では、この前科が重視されたのだが、控訴審でははそれを“前科を過度に重視しすぎた”として突っぱねたわけだ。
「とはいえ、肝心の伊能被告は完全否認でありながら、一審からずっと“完全黙秘”。罪状認否でも何も答えず、自分の名前すらも言わなかったのです。そんな調子ですから、被告人質問では何を聞かれても一言もナシ。控訴審にも出廷せず結審となり、今回の判決にも居合わせていないんですよ」(同)
それにもかかわらず、一審で死刑となったのが高裁では無期懲役と、伊能被告は最初からこれまで何も語っていないのに判決だけがコロコロ変わってしまったのだ。この現状には、無言ながら当の本人が心の中で一番ビックリしてるのかも?