今回の成長戦略は「世界で勝つ」をキーワードにしており、日本の優れたシステムや技術を世界に展開するため、トップセールスやインフラシステムの輸出などで、現在10兆円のセールスを2020年までに3倍の30兆円にするのが狙いだ。
政府関係者によれば、成長戦略の旗頭に期待したのがホンダのF1人気。1988年〜'91年に4年連続でF1の世界チャンピオンに輝き、'88年にはセナ、プロストの活躍で16戦15勝を飾った伝説のF1チーム『マクラーレン・ホンダ』を復活させるのだという。世界最強エンジン「Powered by honda」の力を借りて日本の実力を再認識させ、アベノミクスを一気に加速する作戦なのだ。
「両者の連携は間違いない。安倍首相が成長戦略を発表したのは5月17日で、ホンダのF1復帰発表はその前日の16日。復帰は2015年シーズンからですから、慌てて発表する必要性はないのですが、それを敢行したのは官邸サイドの意向によるものなのです。同時に、なぜ17日に安倍首相が成長戦略を発表したかというと、そこにホンダの計算が秘められているのです」(全国紙の経済部記者)
「ホンダの計算」とは、インディアナポリス(米国)で開催の「インディ500」(5月26日決勝)にある。このレースには元F1ドライバーの佐藤琢磨(AJフォイト)がホンダエンジンで出場。30万人が観戦する米スポーツ界最大のイベントで日本人ドライバーが優勝すれば、ホンダのF1復帰発表との相乗効果で「日本」が脚光を浴び、結果として日本車の販売が促進される。これぞまさに、安倍首相が提唱する「成長戦略」の見本というわけだ。
ハイブリッド技術で世界的に先行しているトヨタにも“F1復帰”の情報があり、こちらは「トヨタ育ちの小林可夢偉の起用が予想されている」(事情通)という。
もくろみは成功するか。