9月場所まで史上最多の6人もの大関が君臨していたが、同場所、日馬富士が2場所連続の全勝優勝という離れワザを演じて横綱に昇進。さらに、九州場所2日目、カド番だった把瑠都が松鳳山戦で左ひざ(左大腿二頭筋筋挫傷)を痛めて3日目から休場。後半からの再出場も諦めて福岡から帰京してしまったため、来場所の大関転落が決定した。あっという間に4大関に減ってしまったのだ。
「まさか今年の初場所の覇者の把瑠都が滑り落ちるとは思いませんでした。師匠に、ここで無理すれば元も子もなくなる。ケガさえ治れば、また大関に復帰できる力はあるんだから、と説得されてようやく休場を決断しましたが、さすがに治療のために福岡空港をあとにする後姿はさみしそうでしたね」(担当記者)
残った4大関も四苦八苦のオンパレード。カド番の琴奨菊、琴欧洲、さらに鶴竜まで初日に負け、黒星発進。期待の稀勢の里も、5日目、ご当所福岡県出身で、大関キラーと化した松鳳山にまんまとしてやられ、早くも連勝ストップ。
こんな不甲斐ない大関陣では商品にならない、とばかり、審判部はこれまで終盤に組んできた大関同士の鶴竜と琴欧州を前半の6日目にぶつけた。こんなに早い大関対決は平成12年九州場所6日目の魁皇対出島以来、12年ぶり。言ってみれば大関戦のバーゲンセールだ。
鏡山審判部長(元関脇多賀竜)はこの意図を、「一回、このへんで山場を作りたかったんだ。お客さんのためにも、もっと早くやりたかったんだけど、把瑠都が休場して計算が狂った」と説明。
人数だけいても、中身が伴わなければ単なるお飾りだ。