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主力離脱でも首位 西武投手陣のコワイ意識改革

 埼玉西武ライオンズの投手陣がおかしい…。大黒柱の涌井秀章(24)のリリーフ待機が示唆されたのは、7月上旬。これは球宴休みを見越しての臨時措置であり、47歳の工藤公康を一軍昇格させたのもリリーフ陣を休ませるためである。石井一久(36)、岸孝之(25)が戦線を離れるなど厳しい状況が続いているが、対戦チームは「西武の投手はコワイ」と、警戒を強めていた。
 「このまま日本ハムが優勝戦線に絡んでこなければ、『西武投手陣にやられた』と言っていいだろうね…」
 ライバル球団のスコアラーがそう言う。

 投手の頭数が揃わない西武投手陣が恐れられている理由は1つ。執拗な内角攻めである。
 去る7月19日の対ソフトバンク戦、西武が与死球数でリーグトップに躍り出た(42個)。本多雄一(25)と川宗則(29)の2人がぶつけられたのだが、両選手ともその日の試合のキーマンとなっている。
 「本多は2犠打、川は3打数3安打。試合はソフトバンクが勝利しましたが、翌日以降、両選手に心配が残る結末となってしまいました」(前出・同)

 投手別の与死球数を見てみても、上位は西武投手が“占拠”している。1位は帆足和幸(31)の9個。2位の涌井は8個。昨季、帆足は25試合(163回)を投げ、与死球5。涌井も27試合(211回3分の2)に登板し、9個の死球を与えている。データ上では、「その割合が増えた」と言わざるを得ない。
 また、帆足は与死球の増加とともに“変貌”も遂げている。今季、「日ハムキラー」とも称されるようになったのだ。対日本ハム戦では、ここまで無傷の3連勝。24回3分の2を投げたが、日ハム打線からまだ1点も取られていない。昨季は0勝、一昨年は1勝4敗だったから、日ハムが前半戦で苦しんだ要因の1つとして、帆足の変貌を挙げてもいいだろう。
 「帆足の内角攻め? 昨年の秋季キャンプから右打者の内角球の攻め方を課題に挙げていました。帆足はもともと内角球の使い方が巧い投手だったんですが、内角を攻めた後の外角球にやや弱点がありました。好調なのは、外角の変化を使うため、内角球の攻め方、ホームベースを通過する角度を研究した成果でしょう」(プロ野球解説者の1人)

 外角の変化球を生かすため、内角球の攻め方を変えたということらしい。西武投手陣は「ぶつけても構わない」なんて発想は絶対に持っていないが、こんな警戒心も抱かれている。
 「14日の日ハム戦では、前日に逆転打を放った陽岱鋼がぶつけられたんです」(前出・スコアラー)
 また、1日には高橋信二が頭部にぶつけられ、病院送りにされた。打撃好調の選手が「より厳しい内角攻め」に遭うのは、プロである以上、仕方ないことだろう。しかし、厳しい内角攻めの連続で「西武戦はコワイ」とこぼす選手も出始めたという。
 西武は主砲・中村剛也(26)を欠き、助っ人のブラウンのバットも下降気味である。打線に一発の脅威が薄れた分、投手陣の頑張りが勝敗に直結してくるだけに『厳しい内角攻め』は続けられるだろう。
 「工藤は中継ぎ要員として一軍昇格されました。昨年からシュートを投げ始め、今年はその精度を増しています。右バッターに対し、外角に逃げるシュートを生かすため、膝元に直球を投げ込んでくるでしょうね」(前出・同)
 球宴明けの西武戦がキナ臭い様相にならなければいいのだが…。

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