A:睡眠時のいびきや無呼吸は、脳梗塞などの脳に異常があって起こる場合もあります。しかし、大半は脳に問題がない末梢型です。
ご質問の方の場合も、脳に問題はない末梢型と思われますので、その前提に立ってご説明します。
さて、いびきの原因ですが、就寝中に舌や軟口蓋が下がることによって、空気の通り道である気道が狭くなり、そこを無理やりに空気が通ろうとすると音が生じます。その音がいびきです。
さらに、気道が一時的にふさがれると、何秒間か呼吸が止まります。これを睡眠時無呼吸と呼びます。
気道や鼻に病気があると、睡眠時のいびきや無呼吸を引き起こします。
●口で呼吸するのが原因
また、肥満との関係は大いにあります。
太っている人は気道の周りに脂肪が多いため気道が狭くなります。ゆえに空気がそこを通るときにいびきが起こり、さらには睡眠時無呼吸が生じるといわれます。
ところが、もうひとつの原因として、就寝中の口呼吸があります。仰向けに寝て、しかも口を開けていると、舌や軟口蓋が沈下し、気道がふさがれるのです。気道がふさがれれば、鼻で呼吸しようにもうまくできません。
前述したように、無理して呼吸しようとし、空気が気道を通ろうとするときに発生するのがいびきです。風邪や鼻炎で鼻が詰まっていれば、普段はいびきをかかない人でもいびきをかきます。
ご質問の方は、太っているし、鼻も詰まり気味とのこと。この2つがいびきや睡眠時無呼吸に関係していることは間違いありません。
しかし、遠因は口呼吸にあると考えられます。
●口にテープを貼って仰向け寝を
おそらく、普段から口呼吸の習慣があるのではないでしょうか。鼻炎は口呼吸が原因で起きている場合が多いのです。鼻で呼吸するようになると鼻の通りがよくなり、鼻炎が改善し、いびきも治ります。
対策としては、就寝時、口にサージカルテープを縦に貼ってみてください。縦に貼るので、口を全部覆うわけではなく、耳に悪い影響はありません。また、鼻腔を広げるテープを鼻に貼ってもかまいません。
そして、必ず仰向けに寝ましょう。いびきや睡眠時無呼吸対策として、うつ伏せ寝を勧める医師がいますが、対症療法であることを自覚してください。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。