A:精神的なことが関係していると思われます。ストレスが関係する、下痢など排便の異常を引き起こす病気に過敏性腸症候群があります。この病気は、朝に排便を済ませて家を出たのに、会社へ着くまでに何回も切迫した便意をもよおすのが特徴です。
しかも、過敏性腸症候群の中には、月曜日の朝だけ下痢をする人もいます。ご質問の方はおそらく、過敏性腸症候群のうちのこのタイプでしょう。
腸の異常は、係長に昇進した一年前からとのことですから、このことからも精神的なことが影響していると思われます。昇進は嬉しいことに違いないでしょうが、責任感が伴うと、人によっては気持ちが落ち込むこともあります。
また、月曜の朝は起きるのが辛いとのこと。それは、たんに眠いためでしょうか。それとも、会社に行きたくないという気持ちがあるからでしょうか。
●休日に寝過ぎないように
一週間の単位で勤めている人の場合、月曜日の朝が多少憂鬱なのは普通のことです。今日から一週間また働かないといけない、という思いを持つこともあるでしょう。
また、睡眠不足のために、朝起きるのが辛い場合は、単に気持ちの問題だけとは限りません。睡眠と覚醒のリズムが原因の場合もあります。というのは、週末から日曜にかけて、夜遅くまで起きていて、朝遅くまで寝ていると、そのリズムが狂います。すると、当然ですが月曜の朝は寝足りないし、そのことが憂鬱をもたらすからです。ではどうすればよいかというと、休日の日でも、普段より遅く起きるとしても、せいぜい2時間の範囲にとどめましょう。そうすれば、普段のリズムが保てます。
このように努めれば、月曜の朝は身体的にはよい状態で迎えられるはずです。
気持ちを奮い立たせるためには、一週間の始まりである月曜は他の曜日よりも早く起き、早く出社し、積極的に仕事にとりかかるようにしましょう。
また、過敏性腸症候群に効果的な漢方薬に柴胡加竜骨牡蠣湯などがあります。大豆イソフラボンとウコン・クルクミン、鮫の肝臓エキスを配合した大豆鬱金湯も慢性の下痢に非常によく効きます。これらの漢方薬を利用するのも一法です。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。