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福島原発「作業員6000人」の現実 現役作業員が内部告発(第4弾) 「週刊実話のスパイがいる!」犯人捜しとなった敷地内 ジャーナリスト・水石徹(2)

 それはともかく、東海と違って、警備はものすごく厳しいよ。警備員の目つきだってハンパじゃない。携帯電話、タバコ、ライターなど、バッグの中身は全部出すよう命令され、ペットボトルなんか残っていると、手を突っ込んで底まで調べられる。携帯電話や工具が入っていればブザーが鳴るし、鳴れば検査やり直しだ。

 話に出てきた「東海」とは、日本原子力発電が運営主体の東海原発(茨城県東海村)のこと。福島第一原発の稼働開始は1971年。東海原発はその8年前に稼働した国内初の原発だ。
 その東海原発の緩慢警備は前々から国内外の専門家に知れ渡り、米国政府からは「テロ攻撃に対して弱点だらけ」と警告されてきた。
 大量のプルトニウムが敷地内にあるにもかかわらず、警備がひどく手薄で、しかも厳戒態勢に置くべき重要区域の作業員に対する「身元調査が不十分」と米国は危機感を募らせる。プルトニウムがイスラム原理主義の反米テロリストなどに盗まれ、核兵器の矛先が米国に向けられるのを恐れているからだ。

 今春、手ぬるい警備が問題になった直後、東海原発のゲート前でウロウロしながら写真撮影を試みた。当然、警備員が飛び出してくると踏んでいたのだが、結果は予想外。
 警備員は目の前で暇を持て余すように笑顔さえ浮かべて同僚と長々と話し込んでいた。こちらをチラッと見ただけで、不審を抱いた様子は感じられない。米国が日本政府に警告を発するのも当然至極だ。

 作業員の桜井さんに言わせると、事故原発の警備の厳しさは、そんな無防備な東海原発とは「比べものにならない」という。
 先に言った通り、警備は厳しいが、でもチェックさえきちんと済めば、たいがいのものは持ち込みOK。タバコだけでなく食い物、そして酒以外なら飲み物だって持ち込める。いや、酒を持ち込む作業員がいるかもしれない。放射線量の検査はあっても、アルコール検査はないから。敷地内で飲んだという話は聞かないけど、敷地の外に一歩出たとたん、イッキ飲みする作業員はいる。
 弁当を注文すれば、現場まで届けてくれるし、しかもペットボトルのお茶までサービスしてくれて350円。コンビニより安上がりだし、食べごたえもある。刑務所なんかよりずっとマシなんじゃないか。

 現場にゴロゴロいる刑務所帰りの連中に聞いてみると、こう言うヤツがいる。
 「休憩時に好きなタバコをプカプカやれて、仕事が終われば外で酒はガンガン飲めるし、女だって好きなだけ抱ける。ここはクビになることはあっても、独居房に閉じ込められることはない。雑居房に戻されれば、ヤクザに威張り散らされ、トイレ側に寝かされるが、そんなことはここではあり得ない。だから、ここは天国みたいだ」

 同じ刑務所帰りでも、不満タラタラのヤツがいる。
 「監視カメラだらけで、安全ベルトをちょっと外しても見つかってしまう。そして上から文句を言われる。頭にきて言い返すと、わざと放射能が高い所で仕事をやらされる。刑務所では、壁の穴にチンポ突っ込むか、服役仲間のケツ借りるかセンズリでしか性欲発散できない。だけど、それでもムショのほうがよっぽどマシだ。放射能浴びながら、汗まみれで働かなきゃならんから、ここは地獄そのもの」

 大きく2つに分ければ、事故原発“天国派”と“地獄派”がいるってこと。天国派には殺人、強盗、連続婦女暴行など、長期刑の大ワルが多いって感じだね。
 地獄派には女の下着泥棒、股ぐら盗撮、痴漢、無銭飲食常習といった、短期刑の小ワルが多いって感じ。
 仕事ぶりを見ているとわかるが、長期刑の連中には意地と我慢強さがあって、短期刑の連中にはそれがないってことだ。

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