上限金が設置されたところにメジャー球団サイドの要望が色濃く出ているが、ここに来て、新たな問題が持ち込まれた。日本野球機構(NPB)は、マエケン(前田健太=25/広島)の米挑戦志望まで見通していなかったのである。
「田中のために新制度成立を急いだ部分もありました。『田中の次にこの入札でメジャー挑戦するのは、大谷翔平』との見方もあり、そうなるのは5年以上先で、マエケンが米挑戦するときはFAだと思っていました」(球界関係者)
大方の予想に反して、マエケンは契約更改の席で「来年オフにも!」と早期挑戦の意向を口にしたのだ。
「楽天は、100億円は大袈裟でも60億円以上は確実と見ていました。上限20億円となれば優勝セール級のオフ価格となってしまいますから、田中に対し“来季限定”での残留要請も検討し始めています」(同関係者)
マエケンにしても、本来なら50億円以上の落札金が見込める若きエース候補だ。半分以下の20億円で流出となれば、カープならずとも、球団経営という面では納得し難い。
「新入札制度の効力は3年だが、日本側からもう一度改定を求めることになるだろう」(ベテラン記者)
来年、12球団オーナー会議の議長は輪番制で横浜DeNAが務める予定。いまだ新コミッショナーの人選では、セ・リーグとパ・リーグがモメている状況だ。
「今季の議長はオリックスの宮内オーナー。会議のイニシアチブを握る議長がパからセに代わるので、セに有利な新コミッショナーが選出されるといわれているが、20億円の上限金を見直したい広島は、パ・リーグ側にも協力を求めるだろう。パはその見返りに、自分たちの推す新コミッショナー擁立を広島に求めるかもしれない」(同)
制度の合意を急いだツケは大きいようだ。