時代劇専門チャンネル、スカパーJSATとともに番組を制作することになったせいだ。真野響子主演『新・御宿かわせみ』で、累計1000万部を超えるベストセラーの続編である。
この動きに驚いているのが、民放、制作プロ各社である。
エンプラは、NHKの番組のみを制作するという条件で'85年に設立された。合併に次ぐ合併で、いまや530名という大組織に膨張。'12年3月期決算は530億円売り上げている。
「その巨大な制作プロが、民放の番組制作マーケットに参入してきたわけですから民放も無視できるわけがない。制作能力は民放や制作プロの数倍以上という意見は少なくない。そのためエンプラの次の動きを恐れていたが、現実のものとなった」(NHK関係者)
NHKの子会社は、親会社であるNHK本体ができること、つまりNHK自身の業務範囲に仕事が限定されている。そのため、民放の制作プロが手がける仕事を奪うことはできない。今回の『新・御宿かわせみ』制作はその紳士協定を破ったとの指摘もある。
なぜ、大胆な行為に出たのか。
「NHKは昨年10月から受信料を月額120円値下げしている。向こう3年間で810億円の減額となるため、その穴埋めをおこなう事業計画『プロジェクト810』を進めている。トップから、別に稼ぐタネを探せ、というわけです。そんな折ですから、エンプラがルール破りに出てもなんら不思議ではない」(関連会社幹部)
エンプラと民放との新たな火種は、当面の間、燻ぶりそうだ。
(編集長・黒川誠一)