(24歳・証券会社勤務)
A:口呼吸の改善に役立つ「あいうべ体操」は、手軽に口の周りや舌の筋肉を鍛えることのできる体操です。脳への血流量も増加します。実は、よく噛んで食べると、同じような効果が得られます。
口を閉じて食べ物を噛むと、舌がいろいろな方向、形に動くのが分かるでしょう。同時に口の周りの口輪筋や表情筋も動き、鍛えられます。そして、脳の血流量も増加します。
噛むことで唾液の分泌が促進され、消化を助けるし、顎の力も強化されます。顎の骨が発達するということは、歯並びも整うということです。
●食事中は水分を摂らない
また、噛むことは脳の血流を促進し、血流量を増やします。ご質問の方が、「脳の働きにもよい」と言っているのは、このことです。
さて、よく噛んで食べるには、どうすればよいか。
今は、やわらかい食材や料理が増えてきました。また、かつては、お茶は食事中に飲まず、食後に飲んだものでしたが、今では食事中に飲むのが普通になってきました。
やわらかいものはよく噛まないものですし、食事中に水やお茶を飲めば、食べたものを流し込むことになります。
ですから、噛みごたえのある食材を選び、食事中は水やお茶を飲まないようにします。お茶は食後に飲みましょう。
食材は、「大きく硬く、水分が少ないものが理想」ですし、スルメのように噛めば噛むほどおいしくなるものも咀嚼回数を増やします。
また、人間の歯には前歯と臼歯があり、前歯で食べ物を噛み切り、臼歯でさらに噛みつぶすことで消化吸収をよくします。ですから、まずは前歯で噛み切る必要のある食事を心がけましょう。
付け加えると、すりおろしたり、ひと口大に切ったりするよりも、1個丸ごとそのまま食べるほうが咀嚼回数を増やすことができます。
以上のようなことを心がけると、よく噛むことを習慣づけるのに役立ちます。
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今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。