特に海外では、日本製のアニメや漫画の原画の転売が多く行われており、2018年にはフランスのオークションで手塚治虫の『鉄腕アトム』の原画が日本円にして3500万円で落札された事もあった。
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「アニメの原画には価値がある」事がまだ一般的に知られていなかった昭和時代。手塚治虫が創立した「虫プロダクション」で、およそ1500枚にも及ぶアニメ原画が中学生の手によって盗まれる事件があった。
当時の報道によると、この中学生は都内の中学校に通う男子生徒二人組で、大のアニメファンであったという。1978年(昭和53年)5月、彼らは学校終わりに虫プロへ見学へ行き(当時、日本のアニメ会社や漫画プロダクションはファンの来訪を快く受け入れていた)、アニメ作りを学んでいた。だが、虫プロの職員が目を離した隙に、彼らは制作場にあった原画約300枚を盗みバッグに詰め、帰宅してしまった。彼らは数日後に窃盗の容疑で警察に補導されたという。
この時期、虫プロでは原画が大量に紛失するという事件が相次いでおり、警察が調べたところ、原画紛失事件も同じ中学生の仕業であったことがわかった。彼らは職員のいない休日の夜を狙い、便所の窓から虫プロの内部へ侵入。ロッカーからアニメのセル画や漫画原稿など1200枚ほどを盗んでいたという。彼らが盗んでいた原稿の中には、手塚治虫の代表作である『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』などの関連資料も混じっていたが、無事に回収されたようだ。
なお、彼らは純粋なアニメマニアであり、盗んだ原画は友達に自慢する程度であり、文化的な損失がなかったのが幸いであった。ファンと制作プロダクションが近かった昭和時代ならではの事件とも言えよう。