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名医・博士の健康術 ★今週のテーマ 感染予防

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提供:週刊実話

 感染症の大流行は、今後も起こりうる!ウイルス撃退には免疫力にまさる薬はない!!

 世界で猛威を振るい、パニックに陥れた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。すでに終息した感のある国も存在するが、感染症は時間をおいて再流行する恐れがある。

 大正時代に日本でも蔓延したスペイン風邪は第2波、第3波でも大量の死亡者を出し、終息までに3年近くを要した。こうした点からも、再び大流行した時に備えて、あるいは別の新型感染症が出現した時のために、今のうちから対策をしておきたい。

 有効な特効薬がない感染症を予防するために最も有効な対策は、何といっても「自己免疫の強化」である。品川イーストワンメディカルクリニック理事長で、栄養学の権威である板倉弘重先生も、「予防のためにも免疫力を高める努力が必要」と説く。

「新型コロナウイルスは、しばらくして再び蔓延する可能性があります。感染症は、呼吸気道や口腔を経た消化管から感染することが多いので、これらの臓器の免疫力を高めるのが大事です。そのためにも、タバコを吸わないこと、空気汚染をできるだけ抑えること、腸内細菌叢を健全に育成することを心がけましょう」(板倉先生)

 部屋の中での喫煙は本人だけでなく、家族の免疫力まで低下させる恐れがある。喫煙者に多い慢性閉塞性呼吸器疾患は、新型コロナウイルスに弱いので、吸わないに越したことはない。

★手洗いは引き続き行う

 新型コロナウイルス対策として手洗い、うがいがしつこいほど推奨されたが、ひとまず終息したからといって、やめてしまうのはよろしくない。特に手洗いは感染症予防の基礎中の基礎なので、引き続き習慣づけておくべきだ。中には、あまり効果が得られない“手抜き”の手洗いをしている人もいるので、上図の「正しい手の洗い方」を実践していこう。

「手を洗う時は、泡状よりも液状の石鹸を使ったほうがよいとされています。新型コロナウイルスは便からも検出されたので、特にトイレ使用後や調理、食事前の手洗いが大切です」(板倉先生)

★発酵食品を積極的に摂る

 新型の感染症が流行すると、高齢者ほど重症化しやすい。加齢による免疫力の低下は避けられないので、加齢とともに増加する慢性疾患の予防が大切である。糖尿病や肥満症、サルコペニア、慢性腎疾患などの合併症は、免疫力を低下させるので、特に気をつけないといけない。

「食事の不摂生などで合併してくる脂肪肝も免疫力の低下を引き起こすので、今のうちから食生活や生活習慣の見直しをしておくべきです。私自身は免疫力を低下させないために、適度な運動と栄養バランスのとれた食事を心がけ、みそ汁やチーズ、ヨーグルトなどの発酵食品も摂っています」(板倉先生)

 免疫細胞を活性化させたり、ウイルスを排除する抗体を産生するには、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが欠かせない。肉や魚、大豆製品などから摂れるたんぱく質は、食事の前に摂ると内臓脂肪も落ちやすくなる。また、よい腸内細菌を育成する食物繊維を、野菜や果物、海藻、きのこなどから毎日3食の食事で摂るようにしよう。

 飲み物は、ミネラルウオーターや緑茶などがお勧め。緑茶には抗ウイルス・抗菌作用があるカテキンが含まれているので、基礎疾患の改善にも役立つ。一方で、清涼飲料水は意外と糖分が多いので、飲まないに越したことはない。
「外出自粛で酒の量が増えたという声もよく聞きます。しかし、糖尿病やメタボなどの合併症があると、免疫力が低下していきます。食事療法を実践し、合併症を少しでも改善して、免疫力の向上に努めましょう。持病が合併して、慢性炎症がある人は免疫力が低下しているので、青背魚やエゴマ油、亜麻仁油などに含まれるオメガ3系多価不飽和脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHAなど)を摂取してください」(板倉先生)

★適度な運動と笑いが大事

 免疫力を高めるには、日頃から体を動かすのもお勧めです。エスカレーターより階段を選ぶ、ウオーキングするなど、ちょっとした工夫で運動の機会を増やすことができます。

「筋力の低下も、免疫力の低下につながります。特に下半身の筋肉を減少させないよう、テレビを見ながらスクワットなどをやるとよいのです」(板倉先生)

 そして、体内時計の乱れも免疫力の低下につながるので、昼・夜のメリハリがある生活リズムを保つことも大事だ。昼間は体を動かし、夜は7時間前後の睡眠を確保するとよい。また、適度に太陽の光を浴びることにより活性の高いビタミンDが作られるので、朝起きたらまず太陽光を浴びるようにしよう。

 また、ストレスをためないことも免疫力を高めるポイントの1つだ。

「私も外にあまり出られない時は努めて笑うようにしました。落語や講談、ドラマなどを楽しみました。家の中でも楽しめる趣味を作っておくことは、とても大事だと思います」(板倉先生)

 これから気温が高くなり、エアコンを使う機会も増えるが、頼りすぎると体温が下がり、免疫力の低下につながる。もちろん熱中症には気をつけないといけないが、朝から晩まで使い続けるのは避けるべきだ。

■正しい手の洗い方を今一度見直そう!

(1)流水で手をよく濡らした後に石けんをつけて、手のひらをよくこする。
(2)手の甲を伸ばすようにこする。
(3)手の甲に指先をあて、円を描くように動かして指先、爪の間を入念にこする。
(4)指の間をよく洗う。
(5)親指と手のひらをねじりながら洗う。
(6)手首を洗ったら、石けんを流水で落として完了。

◉免疫力強化のキーワード

*メリハリのある生活リズム:夜ふかしのような体内時計を乱す行動は、免疫力の低下にもつながる。起きる時間、寝る時間を一定にするなど、昼・夜のメリハリがある生活リズムを保つことを心がけよう。

*栄養:栄養バランスのとれた食事を心がけ、みそ汁やヨーグルトなどの発酵食品も摂っておくとよい。免疫細胞を活性化させたり、ウイルスを排除する抗体を産生するには、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食べ物がお勧め。また、良質の腸内細菌を育成する食物繊維もしっかり摂るべき。飲み物はミネラルウオーターや緑茶などがよい。

*朝の太陽光:起床後に太陽光を浴びることで、眠気を誘発するホルモンの分泌が抑制される。また、活性の高いビタミンDが生成されて免疫力が高まる。

*睡眠:睡眠時間は7時間前後がベスト。昼間に体を動かすと、睡眠の質がよくなる。寝る前にスマホを使うと寝つきが悪くなるので、就寝1〜2時間前にはスマホを見ないようにしよう。
*笑い::笑うことで免疫力が高まることは、様々な研究で明らかになっている。お笑い番組や落語などを見て、リラックスしながら楽しく笑おう。

◉_免疫力を低下させる要因の例

*慢性疾患:糖尿病や高血圧、高脂血症などの持病を抱えている人は、免疫力が低下しているので、感染症にかかりやすい。抵抗力も弱いので、重篤化のリスクも高い。

*筋力の低下:エスカレーターより階段を選ぶ、ウオーキングするなど、運動の機会を増やすことが大事。特に下半身の筋肉を減少させないよう、家の中でスクワットなどをするとよい。

*タバコ:部屋の中での喫煙は本人だけでなく、家族の免疫力まで低下させる恐れがある。喫煙者に多い慢性閉塞性呼吸器疾患は、新型コロナウイルスに弱いので、控えたほうがよい。

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監修/板倉弘重先生
品川イーストワンメディカルクリニック理事長。認定臨床栄養指導医。東京大学医学部第三内科講師、国立健康・栄養研究所臨床栄養研究部部長などを経て現職。『血糖値・血圧・高コレステロールを下げる食事術100』(宝島社)他、著書多数。

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