IRは、全国で最大3カ所の開業が予定され、北海道、横浜、大阪、長崎の4カ所が名乗りを上げている。
「現状は大阪維新の会と府・市が、一丸となってIR誘致に取り組む大阪がリード。誘致はほぼ決定的とみられ、事業者決定の段階にまで入っています」(全国紙記者)
「大阪湾内は1つで十分」(ある大阪市議)という見方が主流で、和歌山との併存には懐疑的だ。
これに対し和歌山は、海に面した商業施設「和歌山マリーナシティ」の一角を予定地として、自然の中での海浜リゾートとしてのIRを打ち出し、大阪との併存は可能と主張する。
「マリーナシティは関西空港から近い。さらにコロナウイルス感染の対応に見られた、和歌山県の危機管理の手際のよさもアピール材料です」(県政記者)
それでも維新がリードし、2025年の万博開催とセットで進める大阪の優位は動かない…はずだったが、状況が変わってきた。コロナウイルス感染拡大と、並行して進める万博開催との兼ね合いに追われ、大阪のIR誘致が後手に回り出したからだ。
「和歌山にしてみれば大チャンス。『万博開催までの開業』を前面に押し出して巻き返しを図っています」(同・記者)
さらに和歌山の背後には、和歌山を地盤とする自民党の二階俊博幹事長の存在がある。
「和歌山出身、関西のドンとしてのプライド、大阪維新の会の頭を抑えたい二階さんの思惑が一致した、ということでしょう」(政治ライター)
大阪維新の会は首相官邸と関係が近しい。二階幹事長と大阪維新の対立は、そのまま二階VS首相官邸となり、代理戦争の意味合いが強くなる。事によっては、自民党総裁選の行方にも影響を与えかねない。
大阪VS和歌山のIR誘致合戦の行方に要注目だ。